敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女
さすがだな
「送信成功。データは地球に届いたはずです」
〈ヤマト〉艦橋で相原が言った。一億キロ彼方にいる味方の無人偵察機を操って地球へ信号を送る。〈ヤマト〉が持つ強力な通信機器の力があるとは言ってもほとんど凄腕のハッカーまがいの仕事だった。冥王星の周囲にはまだ依然としてガミラスによる通信妨害が掛けられていて、地球と直接話しはできない。それでもやりようはあるものだ。
「さすがだな」
送るべきものが地球に届いたのを認めて沖田は頷いた。次に新見が「出来ました」と声を上げ、沖田はそちらに眼を向ける。
「解析結果をメインに出します。見てください――」
言って新見は機器を操作し、正面のメインスクリーンに画像を出した。
「これが遊星の投擲装置に違いありません」
「ふむ」
と頷いてまた沖田は、いま相原に言ったのと同じ言葉を新見に言った。
「さすがだな」
作品名:敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女 作家名:島田信之