敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女
送られてきたもの
「これは!」
と言って藤堂は、次の言葉を繋げずそこで絶句した。外国の代表者らも同じものを見て一様(いちよう)に二度驚く。
『〈ヤマト〉がこれを送ってきたと言うのですか!』
「そのようです」と情報士官。「おそらく、敵と戦いながら、宇宙にスパイカメラを放っていたのでしょう。これはそれが撮った映像……」
『わかりますが……しかしこれを送ってきたと言うことは……』
とひとりが言う。それに対して、
『どうなるんだ! 〈ヤマト〉はもう勝ったと言うことじゃないのか?』
言う者がいる。さらに対して次々に、
『いや、まだわからん! オキタはトードーの言う通り、これでもまだ満足してないのかもしれん!』『そんな! これならもう充分な戦果を上げたと言えるんじゃないのか?』『だからそれが違うんだ! 遊星の投擲装置を破壊しないと!』『それに基地もだ! 基地はどうなったんだ!』
声が上がった。藤堂はそれを耳で聞きながら問題の映像を見ていたが、ようやくのように士官に尋ねた。
「送られてきたのはこれだけか」
「はい。他には……」
「わかった」と言った。「これも発表するんだ」
作品名:敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女 作家名:島田信之