敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女
知恵を借りたい
「なるほど。こりゃあ、ホントに蓮だな」
〈ヤマト〉のラボで斎藤は言った。一応は科学者である斎藤とその部下である荒くれ冒険学者隊はこの戦いの間ずっと、負傷者の救助や船体の応急補修に追われていたが、どうやらその役もなくなったものと見て、皆でラボに引き揚げてきたところだった。
するとそこに戦術科が『助けてくれ』と言ってきた。ガミラス基地の攻略に科学的アドバイスを願いたい――。
「なんのこっちゃい」
と言いながら送られてきたデータを見ると、なるほどまるで蓮池のような敵の基地が描かれている。
『時間がないんです』と戦術科員。『すぐにも敵がやって来るから、その前にカタをつけないといけない。これが敵の中枢と思われるのですが……』
「蓮の蕾ね」
斎藤は言った。〈ヤマト〉の主砲をハネ返し、水に潜っていったところを撮った映像を眺めやる。
「こんなもん、何をどうすりゃ殺れるんだよ」
『わからないから知恵を借りたいんですよ』
「ふうん」と言った。「主砲をハネ返しはしたが、すぐに潜っていったってことは、殺って殺れなくもないんだろうな。一、二発はハネ返されても、十、二十と撃てば殺れる……」
『そういうこととは思うんですが、しかし水に潜られると……』
「ふうん」とまた言った。「じゃあこんなのはどうだ」
作品名:敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女 作家名:島田信之