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 東都水族館から撤収しようとした安室徹は、木立に寄りかかる様にして佇む赤井秀一の姿を見つけた。
彼も当然のように安室に気付きその視線を交わらせたが、互いに言葉を発しはしなかった。
そして、赤井が逸らした視線が見やる先には、原形を留めないほどに変形をしたクレーン車の傍らに立つコナンが居た。

ドライバーの生存は絶望的だと頭では理解している。
だが、感情では納得しきれないでいたコナンが、真っ黒になって変形をした東都水族館のマスコットを拾い上げる。
公安の風見は記憶媒体かと意気込んだが、そこに残されているのは記憶だと、悲しみと後悔をにじませた声で告げたコナンに、灰原は声をかけた。

「もう、ここから離れましょう? いつまでも居ると、歩美ちゃん達に見つかるわ」
「・・・そうだな」

複雑な思いを込めた一言を発して歩き出したコナンだったが、駐車場を抜ける手前でフラリと大きくよろめいた。

「江戸川君?!」

灰原の声にコナンは体勢を立て直そうとしたが、踏ん張りが利かなかった。
それはそうだろう。
爆弾を見つけるために奔走し、風見を助けようとして観覧車に入り込んでジンのヘリコプターからの機銃掃射に曝され、崩落に巻き込まれ、更には軸から外れて暴走する巨大な鉄の輪を、FBIと公安の大人二人の力と特殊サスペンダーの威力を使ったとは言え、満身創痍の身体を張って止めたのだ。
中身が高校生だとしても、小学生の身体がそれだけの負荷に耐えられるわけは無い。
ふらついた体はそのまま駐車場わきの茂みに傾いていく。
支えようと手を出した灰原だが、同じく小学生の彼女にコナンを支えられるわけも無く、また、間に合いはしない。
そのまま倒れると思った体は、途中で四本の腕によって止められた。
「えっ?!」
灰原は目を丸くして凝視した。
差し出された四本の腕の先には、汚れた服に傷だらけの成人男性二人――うち一人は、灰原が緊張を強いられる相手――が、意識を無くしたコナンを抱え上げていた。

「コナン君? 大丈夫?」
「俺達がこの状態なんだ。子供の彼が大丈夫なはずはなかろう? ここまで歩けただけでも称賛ものだ」
そういうと、黒づくめの男の方がコナンを横抱きに直して歩き出した。

「待ってっ!!」
灰原はおもわず叫んでいた。
この黒づくめの男に対する緊張感を感じてはいるのだが、それ以上にコナン――工藤新一 ――をどこかに連れていかれる恐怖感の方が勝った結果だった。

「くど・・・江戸川君をどこに連れて行くつもり?!」
震える手で男のジャケットの裾をぎゅっと握りしめて問うと、歩みを止めた男が灰原に視線を向けた。
「彼は外傷性ショックの状態に近いと思う。一刻も早く休める場所に連れて行ってあげたいと思ったのだが?」
止められた理由がわからないと言った口調で淡々と告げられ、灰原の緊張が幾分下がる。

「なら、阿笠博士の家に! あそこならそれなりの治療も出来るわっ!」
「君が?」
そう声をかけてきたのは、浅黒い肌に金髪、青い瞳の青年だった。
「あっ、貴方、ポアロの・・・安室さん」
「ええ。今晩は外からでも良いから、今人気絶頂の東都水族館を見ようと思ってこちらに来たのですが、騒動に巻き込まれてしまって・・・」
「そう、なんですか。・・・でも、二人ともその恰好では江戸川君共々、入浴と治療が必要でしょう? なら博士の処が一番安心できるし、代わりの服も準備出来るわよ」

灰原の言葉に、男二人の視線が交わされた。
2016.07.17
作品名:protection and attachment 作家名:まお