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雨の匂いと混ざって、
安心するいつもの勇の匂い。

「ていうか、ここ学校!」

ふと我に返って
抱きしめられた腕を振りほどこうとすると、
さらに強く引き寄せられる。

「俺は・・・お前のものだよ。翼。」

「え?」

顔が見えなくて、でも真剣な言葉なのはわかる。

私のもの?

ああ、そうか。私が今言ったんだ。

ー勇は私のものなのにー

思い返して、顔から火が出そうになる。

なんてことを口走ってしまったんだ。

「俺もお前のこと、俺のものにしたかった。」

「はぁっ?///」

「女の子じゃない部分では、翼にとって
 俺は大事な存在と感じられる。」

「じゃあ、女の子の部分では?」

抱きしめた腕をゆるめられ、
勇のデカイ目が私を見つめる。

恥ずかしくて、思わず目を逸らした。

「お前の女の子の部分は、
 俺じゃない、誰か別のヤツのものなのか?」

「っ?どういう・・・?」

「例えば・・・例えば橘君に告白されたら、
 お前は付き合うの?」

「はぁ?橘君が告白とか、しかも私に?!
 ありえない!なんでそんなこと思うのよ!」

何を言い出すの?

そんなこと、橘君にも失礼だ。

だいたい友達もいないのに。

「じゃあ、橘君じゃなくてもいい。
 お前が顔を赤らめていい顔するのは
 いつでも俺がいい。他の男にさせたくない。」

「わっ、わたしがいつそんなことっ」

「いつかの話だよ。橘君と仲良くなっていくお前を見て
 お前が俺と天童のことで、そこは自分の場所って思ったように
 俺も・・・俺も同じことを思ったんだよ。
 お前の横は、いつでも俺の場所であって欲しい。」

「・・・勇。」

「天童に嫌われてるって言ったよな?」

「だって・・・態度でわかるもん。」

あ、いきなり悲しくなってきた。

天童さんがうちに来てくれたりしたのも
勇に頼まれたから?

そんなの・・・悲しすぎる。

頼まれなかったら相手にしてくれなかった?

そんなに私はー。

「天童は・・・橘君のことが好きなんだ。」

「・・・・・・は?えっ、えーーーーっ?!」

ウソっ天童さんが?橘くんを?

目玉が飛び出るほどビックリした。

「ふたりは幼なじみで、やっぱり天童も、
 お前が橘君と仲良くなるのを見て、
 橘君の隣は自分のものなのにと思ったんだと思う。」

「そ・・・そうなの?!」

「たぶん。」

「たぶんかよ!」

「だからお前のことが嫌いなわけじゃない・・・と思う。」

「それもたぶんでしょ!」

「いやまじで。さっきの天童の言葉は本音じゃない・・・と思う。」

「思う、ばっかりじゃん。
 だいたいなんで私よりあんたのほうが
 天童さんのことわかるみたいに言うのよ。」

全然信じられない。やっぱり天童さんに聞かないと。

「俺もお前も天童も・・・嫉妬したんだろ。」

「はぁ?誰がアンタと天童さんに嫉妬なんて!
 うぬぼれんのも大概にしろよ。バーカ、バーカ!」

ブンブンと拳をふりあげると、
勇がパシッとその拳をとった。

「違うの?俺は・・・嫉妬した。
 だから焦ったんだ。お前の横を
 まざまざと誰かに渡すなんて嫌だ。」

じっとまた大きな目で見つめられて
吸い込まれそうになった。

やっぱり勇は綺麗な顔してるな。

そんなどうでもいいことを考えてて、

「翼?」

勇に呼ばれて、ハッとする。

作品名:称号 (カカオ79%) 作家名:りんりん