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銀河伝説 (新たなる旅立ちの後) Ⅲ

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<運命2>
ヤマトはデザリアムの中間補給基地を撃破殲滅し毎日ギリギリのワープを重ね敵母星へ向かっていた。大きな戦闘もなく航海は進んでいる。その影で太田が大変な思いをしているのを知っているのは航海班のみだが…





  「古代戦闘班長。」

食堂に入ってきた進に加藤が声をかけた。澪も一緒だ。加藤の敬礼に進も敬礼で答える。

  「暇だな…俺たちが暇だってことはいいことなんだがな。」

中間補給基地を撃破殲滅してから時間だけが過ぎていく。以前は進がいると張り詰めるような空気に変わるような感じだったが最近はその空気も身を潜め随分穏やかになっていた。

  「そうですね。でも腕が鈍っちゃいそうです。」

加藤がおどけながら言う。澪もいっしょに笑う。

  (サーシアさんが生きていたらこんな感じだったんだろうか…)

澪を見ていると火星で亡くなったサーシアを思い出しその残像がユキに変わる。サーシアの笑顔はユキの笑顔に変わって最後に見た諦めと苦痛の顔に変わる…

  「戦闘班長?」

進は一瞬自分の意識がどこかへ飛んでいたような気持ちになったがすぐに我に返った。

  「あ…あぁ…そうだな。俺はゼロがないのがさみしいよ。」

慌てて進が話を合わせる。

  「ゼロは月基地にあります。イカルスに運ぼうという計画もあったんですけど。」

加藤が一度乗ってみたかったんですが、と付け加えた。

  「ゼロは…もうだいぶ古いタイプになってしまったからな…でも最初の航海を乗り越えた
   俺の最高の相棒だからな。」

当時最新モデルだったゼロはいろんなものを搭載しすぎてバランスが悪く乗りこなすのが大変なシロモノになってしまったと聞いた。裏で"モンスター"と言われていたのを随分後から聞いた。

  「でもいつ見てもカッコイイですよ。手動が多くて大変だって兄から聞きました。
   月基地に移動してすぐゼロを見に行きました。見た瞬間の感動は言葉で言い表せ
   られません!艦載機乗りのあこがれですから!」

加藤が興奮しながら話す。

  「兄も乗りたかったと言ってましたが古代さんとウマが合っちゃったんだよな…と
   ゴネてましたよ。今思うに兄のウデが足りなかったんだと…。」

加藤が兄、三郎のことを思い出す。

  「俺はお前の兄の加藤と訓練生の前から一緒だった。月基地へ配置された時も一緒だ。
   あいつが俺に及ばなかったんじゃない。偶然俺とゼロの波長があっただけなんだ。」

澪も興味津々で聞いている。

  「加藤と山本と一緒に飛んだ時は楽しかった。戦闘中でも安心して飛べた。」

加藤はその言葉に兄と進の強い絆を見た気がした。

  「いつか…」

加藤が進の顔をしっかり見て話す。

  「私は兄を超えてみせます。」

進はそのまっすぐな瞳をみて少し寂しそうに笑った。そして…

  「加藤…お前は自分のために戦え。自分を犠牲にするな。」

と言って"邪魔したな"と言いながら食堂のカウンターへ向かった。


















  「伯父様?」

進が後部展望台で宇宙空間を眺めていると澪が入ってきた。

  「澪…今日の任務は終わりか?」(進)
  「えぇ。これから休憩。」

澪はそう言いながら進の横に立ち一緒に宇宙空間を眺める。

  「地球はどうしているかしら…」

まだ見ぬ第二の故郷に思いを馳せる。

  「イスカンダルが失くなってしまったから…私には地球しかない…。」

澪がうつむきながらつぶやいた。

  「でも伯父さまたちだって地球が全てですもんね。」

いくら太陽系に基地をつくり人が生活していても地球が自分たちの母星だ。

  「そうだね…地球が地球で失くなることなんて想像できないな…必ず奪還しないとな。
   そうじゃないと加藤たちに顔向けできない。」

力を込める握りこぶしにユキの手を掴んだ感覚が蘇る

  「手を離してはいけなかったのに…なぜ…。」

進がつぶやく。

  「ユキはわざと力を抜いたんじゃないかと思う。俺をヤマトにたどり着かせる為に。
   あの高さから落ちたら自分がどうなるか分かっていたはず。例え助かったとしても
   捕虜になると分かっていたはずだ。」

進の視線が自分の拳からサーシアに変わる

  「ありがとう。サーシアがいてくれて俺は救われている。加藤たちと仲がいいのか?」

進が話題を替える

  「えぇ。身長の伸びが緩やかになってから訓練生として一緒に過ごしてきたから…。」

サーシアが嬉しそうに答える。

  「そうか。よかったよ。一緒に訓練をした仲間は一生の宝だからな。」

進の脳裏に加藤四郎の兄、三郎と山本が浮かんだ。