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I belong to you.

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ヘルメットをつけ、外に出ようとするが何かが脱出ポッドのハッチに当たって開く事が出来ない。
仕方なく、救難信号を発信して助けを待つ事にした。
「ふぅ。ナナイ達が私を見つけるのと酸素が尽きるのとどちらが早いか…。その前に連邦に見つかるか?」
シャアは溜め息をつくとシートへと座り込む。
そして、先ほどまで側にいたアムロの安否を確かめようと語りかける。
「アムロ!アムロ!生きているか?」
しかし、アムロからは何の返答も返って来ない。
「気を失っているのか?それとも弾き飛ばされてもう近くには居ないか?」
シャアは再度アムロに呼び掛けるがやはり返事は返ってこない。
気配を感じ取れないかと、目を閉じ心を研ぎ澄ます。
すると、微かだがアムロの気配を近くに感じた。
「やはり側にいるか…生きているようだが…気を失っているようだな。」
取り敢えず、気配を感じる事が出来てホッとする。
ーーー何故ホッとする?彼は私の邪魔をしたのだぞ?おそらくアクシズの降下作戦は失敗だ。その原因は間違いなくアムロだ。その彼の安否を何故自分はこんなにも気にするのだろうか…。彼が最後にあんな事を言ったからか?自由になれなどと…。

シャアが思考に耽っているとノイズ混じりの通信が入る。
《大佐!無事ですか?!》
それは間違いなくナナイの声だった。
「私の悪運も中々のものだな。どうやらまだ死ねないらしい。」
自嘲気味に呟くとマイクのスイッチを入れてナナイに応える。
スピーカーの向こうからはナナイの泣き声が聞こえる。どうやらかなり心配を掛けたらしい。
《私の位置はわかるか?酸素が後どれくらい保つか分からない。なるべく早く回収してくれたまえ。》
《了解しました。》
ナナイのその声にほうっと息を吐く。
暫くすると接触通信でギュネイの声が聞こえきた。
《大佐!ご無事ですか?》
《ギュネイか?ああ、大丈夫だ。だが何かが当たってハッチが開かん。このままレウルーラまで運んでくれ》
シャアのその返事にギュネイが困惑の声を上げる。
《ですが…大佐…》
《どうした?ギュネイ?》
ああ、そう言えば側にアムロのνガンダムがある筈だ。それが気になるか?
《νガンダムが側に居るのか?》
《…はい…。》
おそらくそのうちブライトが回収に来る筈だ。回収は彼らに任そう。
《νガンダムはそのままでいい。私のポッドだけを回収しろ。》
その指示にギュネイが答えない。
《どうした?》
《…それが…。νガンダムが大佐のポッド抱え込んでいて外れないんです。》
《抱え込んでいる?》
《はい。その…まるで守るように抱え込んでいて…おそらくそれで脱出ポッドがあの衝撃でも大きな損傷がなく無事だったかと…。》
νガンダムはマニュピレーターで脱出ポッドを大切そうに抱え、その機体全体で包み込んでいた。
そして、落下の摩擦熱に直接晒されたνガンダムの機体は激しく焼けただれ、かなりの損傷を受けていた。
《この場で引き剥がす作業をするとかなりの時間がかかる為、連邦に見つかる怖れと酸素が足りなくなる可能性があります。このままνガンダムごとレウルーラへ搬送します。》
致し方ないとは言え、アムロをジオンへと連れて行く事に不安を感じた。
アムロはあまりにも多くのジオン兵を倒してきた。当然恨みもかっている。
それに、自分はアムロにどんな顔で会えばいい?あんな事の後でどんな…。
そんな事を考えているとギュネイから確認の通信が入る。
《大佐?宜しいですか?》
《…分かった。但し、パイロットの処遇は私の指示を待て。勝手な事はするな。分かったな。》
《りょ、了解しました。》
ギュネイは戸惑いながらも脱出ポッドをνガンダムごと牽引し、レウルーラのドックへと運び込んだ。

ドック内に空気が充填されるのを確認すると、メカニックや作業員達が一斉に脱出ポッドの元に駆け寄りνガンダムのマニュピレーターからポッドを引き剥がす作業を始める。
そして、小一時間程掛け、ようやく脱出ポッドのハッチが開いた。
ギュネイに体を支えられながら姿を現わすシャアの姿に皆から歓声が上がる。
そして、シャアを迎え入れる為、艦橋からナナイも降りてきてシャアの姿を見るなり泣き崩れた。
そのナナイを労うと目の前に倒れ込むように横になるνガンダムへと視線を向ける。
「ガンダムのハッチを開け」
シャアの指示により、外からガンダムのハッチが開かれる。
そして、シャアはギュネイの手を離し、アムロの元へと足を進める。
コックピットの中に入ると、白いノーマルスーツを着たアムロが頭から血を流し、顔の右半分を血に染め、フワリとコックピットの中を漂っていた。
手足の様子から骨折もしているようだ。そして、外傷によるものか摩擦熱での高温状態に晒された為か発熱しているらしく、荒い息を吐きながら苦しげな表情を浮かべていた。
「アムロ…」
シャアはそっとアムロの身体を引き寄せるとその手に抱く。
すると、アムロは激しく咳き込み吐血した。
「アムロ!?」
そこに駆けつけたギュネイに手当の準備をするよう指示を出す。
しかし、敵であるガンダムのパイロットの治療を指示する総帥にギュネイが眉をひそめる。
「大佐?!しかし、それは連邦のパイロットですが!」
「だから何だ!治療をしろと言っている!急げ!!」
直ぐに動かず口答えするギュネイに苛立ちを覚えると、シャアは激しく叱責し自らアムロを抱きかかえて医務室へと向かう。
「大佐!」
その後ろ姿をギュネイとナナイは複雑な表情で見送った。
「大佐…」


アムロを医務官に託し、「何があっても助けろ」と言い渡して自信も打撲の治療を受ける。
アムロは頭部の強打による頭蓋骨骨折と脳内出血、及び全身の骨折。そして、骨折した骨が内臓を傷つけていた。
まさに瀕死の重傷で、生きているのが不思議な状態だった。
レウルーラの医務室では治療の限界があり、スウィート・ウォーターへと帰還し、軍事基地内の病院で治療を受ける事になった。


「ナナイ大尉…、あのパイロットは…アムロ・レイなんですよね?」
基地内の一室でギュネイはナナイに確認する。
「ええ。間違いないわ。」
「何故大佐は宿敵であるアムロ・レイを助けたんでしょうか…?それに…アムロ・レイもあんな…大佐を守る様な事を何故…。」
ギュネイはシャアの脱出ポッドを発見した時の状況を思い出す。
アムロ・レイのνガンダムはまるで脱出ポッドを守る様に抱え込んでいた。
事実、脱出ポッドは大きな損傷も無く。シャアも打撲と軽い脱水症状を起こしていただけだった。
それに対し、その衝撃を一身に受けたνガンダムは大きな損傷を受け、アムロ・レイも瀕死の重傷を負ったのだ。
「さあ…。アムロ・レイが目覚めたら聞いて見るしかないわね。」
ナナイは溜め息を吐きながらそう答えた。


しかし、数週間経ってもアムロは目を覚まさなかった。
その間、シャアは地球連邦政府と停戦条約を結び、全軍をスウィート・ウォーターへと撤退させた。
しかし、アクシズの降下作戦は失敗したものの、ネオ・ジオンの武力が縮小した訳ではなく、まずはジオンの本拠地であるスウィート・ウォーターの連邦からの独立を獲得した。


「アムロの様子はどうだ?」
作品名:I belong to you. 作家名:koyuho