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MEMORY 死神代行篇

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05,意思





 記憶の中では、改造魂魄が義魂丸に紛れて一護の下へ届くのは、茶渡がインコを抱えて走り回ったすぐ後の事だった。その時期になったのは、茶渡が巻き込まれた件で、ルキアが一護と離れて行動すると死神化が出来ない不便さを身に染みて実感したからなのだが、一護は“記憶”があるから効率の良い方法を取れるようにルキアに進言している。唯、最初に、浦原もいる所で抜け殻になった肉体を護る為に義魂丸の取り寄せを希望してみせた事があった為、考慮して貰えると思う。
 一護は、『どんな命でも奪う側にはならない』と言っていた改造魂魄の事は気に入っている。同じ考え方をする改造魂魄が一護の下へ来るとは限らないが、改造魂魄に普段自由に動ける体を与えて於く為のぬいぐるみが必要だとも考えていた。ぬいぐるみなら、記憶通りにならなかったとしても持っていて不自然にはならない。そう考えて、マスコットのような形のライオンのぬいぐるみと、一応白猫のぬいぐるみを用意してあった。
 用があるので先に行くと言って朝食も摂らずに出掛けたルキアに、その日が来た事に気付いた一護は、小ぶりのトートバッグにライオンのぬいぐるみを詰め込んで登校した。
 用事を済ませてから登校したルキアは当然遅刻で、着いた早々一護を呼び付けた。溜息を吐くと、トートバッグを持ってルキアの後を追い、渡されたソウル・キャンディを自分の口ではなく、ぬいぐるみの口に入れてしまう。

「い、一護⁉ なにを⁉」

 驚くルキアに、一護はしれっと言う。

「浦原さんとこで仕入れてきた物だろ。浦原さんが粗悪品掴まされる可能性もあるって考えは持った方が良いと思うぞ。」
「例え粗悪品を仕入れても、それを客に売るような事をするとは思えんが。」
「商品に触るのが浦原さんとテッサイさんだけならね。ジン太と雨はうっかりミスをしないとは言い切れないとこがあるから。」

 言いながら、一護は義魂丸を入れたぬいぐるみの首を掴んでぐるぐる振り回す。

「いてーな、何すんだよっ!」

 良い反応だ。
 一護は内心で思いながらぬいぐるみを見つめた。ルキアは義魂丸ではあり得ない反応に目を丸くしている。

「貴様、改造魂魄かっ!」
「!」

 素直な反応をしてしまった為に気付かれた事に、改造魂魄が慌てて声を飲むがもう遅い。逃げを打とうとしても一護が確りと掴んでいるので逃げる術もない。

「ルキア。改造魂魄はスピンヘッド計画の為に開発されたものだったな。」
「そんな事まで知っておるのか。」
「破棄命令を出したのは中央四十六室か?」
「当然であろう。」

 最早現世の人間として教えてやるという意識を持つ事すら馬鹿らしくなったルキアは、後輩死神を相手にしているような気分で会話を続ける。

「勝手に作って勝手に破棄か。」
「尸魂界の掟は、貴様ら人間を守る為のモノだ。」
「本当に?」
「何?」

 記憶では“一護”の反論は感情論だったが、一護は違う。

「都合の悪い事は力づくで潰して口を拭ってなかった事にする。中央四十六室は、死神になれる力もない貴族達が、権力を握る為のシステムだろう。現世の人間を守る為というのは、奴らが保身を図る為の口実に過ぎないと思うぞ。」
「そんな事はないっ!」
「…と、真央霊術院で刷り込まれただけだ。護廷隊に逆らわれたら、四十六室など簡単に壊滅させられるからな。」
「一護………。」

 価値観を根底から否定されて途方に暮れるルキアに、一護は苦笑する。

「別に何もないのに四十六室に反旗を翻す必要はないだろう?」
「だったら何なのだ。」
「私が言いたいのは、四十六室が正しいという考えに凝り固まるな、という事だけだ。例え創り出された物だろうと、改造魂魄にだって意思はある。意志あるものを無視する権利など、誰も持ち合わせてはならないという事だ。」
「虚にだって意思はあるだろう。」
「虚の意識は欲望であって、意思と呼べる代物じゃないぞ。」

 意識と意思は違うだろう。
 一護は簡単に逃げられない程度に力を緩めて手の中のぬいぐるみを見た。

「お前の意思は?」
「……生きたい。」
「それは意識だ。本能を自覚しているだけだ。どう生きたいか、まで考えて初めて意思と呼べる。」
「俺は………。」

 改造魂魄の言葉を遮るように伝令神器が虚の出現を告げる。

「時間切れか。続きは後だ。」

 ぬいぐるみの口に指先を突っ込んで取り出した改造魂魄を飲み込んで死神化した一護は、自分の体に入った改造魂魄に向き直る。

「お前の自意識は男のようだが、私は女だからな。女らしくしろとは言わんけど、男らしい事はしてくれるなよ。」

 そう言ってルキアを連れてその場を後にする。

「良いのか、一護。」
「試してるんだ。」
「試す、だと?」
「言葉を繕う事は誰でも出来る。でも行動はそうはいかない。」

 見つかって破棄される事に怯えながら逃げ延びてきた改造魂魄が、自由に動ける肉体を得てどう行動するか。
 ルキアから見れば、結果は見えているような気がしたが、一護は何事か考えがあるようだ。
 騒ぎを引き起こしたら、記換神器を使えばいいし、逃げても浦原に協力を頼めば応じてくれるだろう。態とではなかろうが、粗悪品を掴ませたのは浦原なのだ。ルキアはそう意識を切り替えて、一護と共に虚退治に向かった。
 虚退治から戻ってみれば、改造魂魄は大人しくはしていなかったようだ。普段一護がスルーして揉め事を起こさずにいた教師に絡まれて足技を返答にしてしまったらしい。教室を飛び出した体を追っていくと、近場の小学校に逃げ込んだ。
 居場所を突き止める前にまたしても虚出現の報せが届き、一護はルキアを促してその場を離れた。尤も、一旦離れたと見せ掛けて、一護はルキアを抱えて屋上に上り、校庭を見下ろしていたのだが。
 一護の隣から見ていると、百足型の虚は校庭の隅で授業をさぼって遊んでいる子供達を目標にしているようだった。ルキアが慌てて一護を促そうとすると、一護の体に入った儘の改造魂魄が子供達を追い立て、代わりに傷を負って虚の意識を逸らした。邪魔をされた虚は改造魂魄を追い掛け回し、導かれるように屋上に上がってきた。

『食事の邪魔はするわ、弱いくせにちょろちょろ目障りだわ……。』
「その通りだね!」

 今まさに一護の体に襲い掛かろうとしていた虚の足を切り払い、一護は啖呵を切る。
 驚いて一旦引いた虚に、改造魂魄は身を竦めて一護を見る。

「当初の目的は対虚だったんじゃないの? あの程度の小物になんだって傷なんか負わされてんだよ。」
「お前が来ないから、俺が代わりに餓鬼どもを守ってやったんだろうが。」
「あんな小物に手傷を負わされる程度の動きしか出来ない体じゃないくらいには、鍛えてあるんだけどね?」

 体勢を立て直した虚が改めて襲い掛かってくる。

「貴様らから先に片付けて………。」
「「喧しい!!」」

 改造魂魄は蹴りで、一護は斬魄刀で虚にダメージを与える。

『この……っ』
作品名:MEMORY 死神代行篇 作家名:亜梨沙