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MEMORY 死神代行篇

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「………拒絶ッス。」
「拒絶。……事象の拒絶?」
「はい、そうッス。」

 一護は暫く無言でいたが、深く溜息を吐いた。

「巻き込みたくなくて、霊力垂れ流しを防ぐ為にコントロール覚えようと頑張ってきたけど、叶わなかったなぁ。」

 ぽつりと呟いて、気が付いたように浦原に視線を向ける。

「有沢竜貴は? あの娘には能力の目覚めなかった?」
「……なかったッスよ。」
「………そっか。竜貴は空手の全国大会も控えてるから、巻き込むわけにいかないしね。」
「空手の、全国大会ッスか?」
「そ。浦原さんに白打習い始めてから空手サボってるから今の竜貴の力正しく知らないけど、仕草見てると隙がなくなってるから、いい線いけるんじゃない?」

 一護の瞳に柔らかな色が浮かぶ。
 幼馴染だという有沢竜貴は、一護にとって守るべき対象なのだと知れる。

「キスケさん。」

 雨の声がして、障子が開く。
 ペコリと浦原に頭を下げた雨は、一護に向き直って頷く。一護も雨に頷き返して、浦原に向き直る。
 浦原はすっと手を伸ばし、一護の浴衣越しに体の二か所に触れた。

「黒崎サンは、アタシが朽木サンに渡した義骸が霊力を回復させない物だって気付いてたんスね?」

 斬られたら痛そうだ、と一護は口元を歪める。

「さんきゅ。浦原さん。」

 半眼にした視線を上げる事なく、一護は小声で続けた。

「出来れば傷の手当は姫に頼みたいなぁ。」
「!」

 井上織姫の能力も、一護の中には織り込み済みだったのだと気付く。
 この未だ十六になったばかりの子供は、一体どこまで読んでいるのか。



作品名:MEMORY 死神代行篇 作家名:亜梨沙