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女体化ジルヴェスターの災難~ドレッファングーアの暇潰し~

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プロローグ



 貴族院には時の東屋と言うデートスポットがある。ここは時々ドレッファングーアの悪戯で、不思議な事が起こると言う。
 その悪戯に見舞われたのが、嘗てのフェルディナンド達だった。具体的な事は何も覚えていないが、その覚えていない事実こそ、人智を越えた出来事だと断言する。
 興味があるからこそ、グルトリスハイトについて調べていたが、本気でその知識が欲しいと思ったのは、この出来事について、調べたかったからだ。
 そんな事を思い出したのは、ヒルシュールの研究室に放ったらかしの魔術具を回収すると言う名目を果たしていたからだ。
 あの頃の事を思い出していると、ふと目に着いた魔術具を見付けた。
「これは?」
 覚えの無い魔術具を慎重に手に取ると、ヒルシュールに聞く。
 全く整理されていない汚部屋だが、ライムント製魔術具とフェルディナンド製魔術具は流石に分けられている。…と言うより在学期間が離れている為、自然と別々になっていたのだろう。
「フェルディナンド様が作られたのでは?」
「いえ、違います。」
 …どうやらヒルシュールも出所が分かっていなかった様だ、と判断する。気にはなったが、魔方陣を確認しようと思う程では無かった。故にフェルディナンドはそのままの場所に放置し、直ぐに忘れてしまった。

 …それが無くした記憶に関するモノだと気付かずに。