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女体化ジルヴェスターの災難~ドレッファングーアの暇潰し~

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過去の来訪 1



 ローゼマインにとって2度目の領主会議。全体会議が終了を告げた時、それは起こった。
 強大な魔力、否、神気の波動。当然ながら人の物では無い。その発生場所ー時の東屋がある方向ーへ誰もが目を向ける。
「何でしょう?」
 首を傾げるローゼマインのお守りが何の反応も見せていない事から、彼女に干渉している訳では無いと分かる。だがフェルディナンドがそれで警戒を解く訳もなく、睨み付ける目の険しさに変化は無い。
 危険慣れしている騎士がそれぞれの領地より1人ずつ向かっていく。アレキサンドリアからはエックハルトだった。そして暫し。

 「た、大変です!!! か、過去の世界からの来訪者です!!!」

 誰もが意味を解さなかった。

 貴族院時代の自分自身を見たフェルディナンドは処理落ちし、ローゼマインはキラキラと顔を輝かせている。
 フェルディナンド、エックハルト、ユストクスの元・エーレンフェストで、現・アレキサンドリア勢とハイスヒッツェ含むダンケルフェルガーの騎士達(当時は見習い)がそこにいた。
 彼等の話を統轄すると、ハイスヒッツェ達は素材集め、フェルディナンド達は貴族院不思議兼素材集めをしており、偶々時の東屋で遭遇した処、突然、魔法陣が現れ、気が付けばこの時代にいたらしい。
 季節が違う事による、景色の変化に戸惑っていた処、騎士が現れた、と言う事だ。
 非常識極まりない出来事に、責任は所属する領地で背負えとばかりに、エーレンフェスト、アレキサンドリア、ダンケルフェルガーの人間だけが残される。
 余り細かい事を気にしないダンケルフェルガーの男達は未来で素材を集めると張り切って行ってしまった。過去の自分達に躊躇う事をしない、今のハイスヒッツェ達と共に。
 そして残ったエーレンフェストとアレキサンドリア首脳陣達。
「どうする? アレキサンドリアで面倒見るか?」
 ジルヴェスターがローゼマインとフェルディナンドに向けて聞く。今の彼等はアレキサンドリア所属だ。ジルヴェスターの言葉は当然だった。
「そうだな、」
「アレキサンドリアとは?」
 今と過去のフェルディナンドの言葉が重なる。
「アーレンスバッハの事です。今は名前が変わっているのです。私の夢が詰まった領地なのです。私がアウブで、フェルディナンド様が婚約者なのです。」
 答えたのはローゼマインだが、それは彼等を驚かせる。
「フェルディナンド様がエーレンフェストを…。」
 ユストクスが慌てて、木札を取り出し、その旨を記す。

 ――フェルディナンド様はアウブ・アーレンスバッハと婚約され、エーレンフェストを出られるらしい。喜ばしい――