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逆行物語 第二部~ランプレヒト~

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見えない悪意(1)



 ゲオルギーネ様の来訪。それはエーレンフェストにとって、危険な事だ。
 母上から教えられた情報は、ヴィルフリート様をとにかく守り通すと、強く誓わせた。
 幸い、アウブはヴィルフリート様やローゼマインには殆どゲオルギーネ様と会う時間を作らせない様にしていた為、普段と変わらない日を過ごせた。それでもゲオルギーネ様が帰られる日は、ホッとしたモノだ。
 ゲオルギーネ様が帰られた後、ヴィルフリート様は隠し部屋で読書をすると籠られた。神殿の本の写しである、その古語の本は難しく、読むのは集中力がいるからと1人になられている。
 夕食の時間になり、ローゼマインがまた城へ帰ってきた。ゲオルギーネ様が帰られるまでは、神殿に篭っていたので、漸く城に帰って来た気になる。ゲオルギーネ様を見送った後は直ぐに、神殿に行ったからな。
 夕食を取る一族の護衛として、部屋に立つ。ローゼマインがハッセに行く話をしている。町の確認をしたいと言っている。アウブはそれに対して、フェルディナンド様より聞いている、と答えていた。
「明後日? 待て、ローゼマイン。其方、体調は大丈夫なのか? 疲れを癒してから行動した方が良いのでは無いか?」
 そこに異を唱えたのはヴィルフリート様だ。その目には心配そうな光が宿っている。話をしているだけで、興奮して倒れたローゼマインの姿は、私達に刻まれている。
「? 特に問題はありませんよ。大丈夫です。」
「ここ数日、張っていた気が緩むのだから、今夜辺り熱を出したりせぬのか?」
 確かに…、ゲオルギーネ様来訪は、皆がピリピリしていた。勿論、表立っては見せないが…。
 この虚弱な妹は本当に大丈夫であろうか…。
「?? 特に気を張っていたつもりはありませんよ。私、寧ろ、神殿で活力を充填出来ました。」
 そんな此方の心配を穏やかに否定したローゼマインは、確かに不調は見られない。あくまで私の目では、だが。
「ローゼマイン…。そうか、分かった。処で聞きたいのだが。」
 立て続けにヴィルフリート様が話を続けられたので少し驚く。
「もし、無限にユルゲンシュミット中の本が自動的に集まり続ける魔術具の図書館があったとして、成人した其方に譲ると言う話があったとしたら、どう思う?」
「嬉しいに決まっているではありませんか! 想像だけで興奮しそうです…。」
 ウットリとした顔は可愛いのだが、話の内容は残念だ。
「ふむ、しかし、だ。成人する前に其方が女性だから、と言う理由で、私に譲ると変わればどうだ?」
「納得行かないに決まっているではありませんか!! 約束を破った方は許しません!!」
「私については?」
「妬ましさの余り、嫌いになりそうです。」
 何となく話の内容が見えてきた気がする。アウブがやや目を見開いている。