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逆行物語 第六部~護衛騎士~

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アンゲリカ~考えない騎士~



 儀式が終わって、神殿長であるヴィルフリート様が仰いました。
「アンゲリカ、今日から其方は青色巫女見習いだ。これより私に従って貰う。」
「分かりました。」
 従うのですね、解ります。
「先ずは其方の家族に手紙で挨拶をしたい。青色は実家が大事だからな。」
「そうなのですか。」
「うむ。」
 良く解りませんが、そう言うモノなのでしょう。ヴィルフリート様が書いた手紙を見せてくれましたが、良く意味が解りません。
「アンゲリカの魔力量を考えれば、青色になって貰えるのは非常に喜ばしいが、貴族院を中退させて本当に良いのか。試験期間も終わっておらず、今ならば復学も出来なくは無い。貴族院からはっきり除籍すると言われるまで、粘らなくて後悔しないのか。
 本人の自由意思だけでは還俗出来ないが、フェルディナンド叔父上の様に、神官長職を兼任しながら、貴族社会に関わる事も、貴族として認められていれば可能だ。此所で諦めて良いのか、と言う質問も含めた内容の挨拶だ。」
 ヴィルフリート様はそう仰いました。その少し後、実家からの返信がありましたが、やはり意味が解りません。
「もう良いのです。あの子はもう貴族の血を引いているだけです、と言う内容を繰り返し、言葉を変えて訴えている。恐縮しているのだろう。」
 説明して下さったヴィルフリート様は不意に私を見据えました。
「――アンゲリカ、はっきり訊くが、其方、青色巫女の勉強をするのと、勉強せず騎士になるのとどちらが良い?」
「騎士です。」
 勉強しないで済む方に決まっています。
「実家に迷惑掛けても?」
「実家に迷惑が掛かるのですか?」
 幾ら私でも良いです、なんて言えません。
「完全に実家と縁を切らねば迷惑を掛ける。」
「あ、じゃあ縁を切ります。だから騎士になりたいです。」
「ならば家に絶縁状を書くのだ。“騎士になりたいので、貴族院に復学します。迷惑掛けたくないので、縁を切ります”とな。そのままで良い。」
 言われた通り、差し出された羊皮紙に書きました。
「叔父上の署名を貰ってから出す。其方はローゼマインがいる孤児院室に迎え。案内させる。」
 私がシュティンルークを手に入れたのはこの時です。ローゼマイン様とシュティンルークのお陰で私は進級出来る事になりました。良く解りませんが、青色巫女見習いで、騎士見習いになるそうです。ローゼマイン様が護衛を命じて来たので、私は神殿住まいの側近になりました。
 家族に知らせる事だと思ったのですが、良く解りませんが、貴族院に復学する事で、家族に負担を掛けない為に縁を切ったので、その必要は無いそうです。フェルディナンド様が言ってました。
 また、領主候補生の側近になった私に、急に近付く悪い者も多いので、そんな連中に家族を巻き込みたいかと聞かれたので、嫌です、と答えました。なら今は我慢しなさいと言われたので、私は頷きました。ローゼマイン様は必ず家族で笑い合える様に頑張りましょうと言ってくれました。
 私はローゼマイン様の護衛です。ローゼマイン様が何より大事です。ローゼマイン様と家族なら、ローゼマイン様を取ります。
 でもローゼマイン様は家族と笑い合える日を、と言ってくれました。きっと叶えばローゼマイン様が喜んでくれると思います。だから私も夢を見る事にしました。

 あれ? 私、エックハルト様の第二夫人になる様です。何時の間にか、婚約者に決まっていました。

続く