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機動戦士ガンダムRSD 第32話 混沌の先に

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アークエンジェルは、潜航を中止した。
敵艦隊が突然反転したのだ。
 改修型フリーダムガンダムは、胸部と頭部以外の機体モジュールを全て失い爆発の衝撃でできたと思われる巨大なクレーターの中から後から来た友軍機に発見された。
キラ准将は、ガンダムサイガー改に斬られる寸前に咄嗟に核エンジンを停止させたため大事には至らなかった。
そのため彼自身放射能汚染や重症のケガを追っていなかった。

                                      ※

 ミネルバのほとんどの人々は、シン中尉の死よりマユ少尉が純白の死神を追い詰めたことに衝撃を受けていた。
しかしアスラン准将ただ1人だけシン中尉の死にショックを感じていた。
「シンが・・・・あいつが死ぬなんて。
そんなバカな」
 アスラン准将は、この現実が受け入れられなかった。
「艦長、これは司令部にはどう報告を?」
 ブリッジでは、アーサー副艦長がこれをどのように本国に報告するか尋ねた。
「嘘が通じるとでも思っているの?
ありのままを報告するわよ」
 タリア艦長がきつく答えた。
「まったく後味が悪いわ。
死神を後一歩まで追い詰める有利な戦いをしたにもかかわらずエースを失いその妹の無許可出撃を許すなんて」
 マユ少尉は、ミネルバに帰艦した。
これが正規の命令であれば祝福されるのは、当然であろう。
しかし今のマユ少尉は、無許可出撃である。
すでにグフイグナイテッドカスタムの前には、自動小銃を構えた兵士数人が立っていた。
そこにマユ少尉は、降り立った。
「来い」
 兵士たちに銃を突きつけられたまま整備員の人ごみを掻き分け奥へ行った。
「まさか艦長とか銃殺刑にならないよな?」
 ヴィーノ軍曹が恐る恐る質問した。
「はあ?
なるわけないだろ?
艦内でモビルスーツで暴れさせられるよりは、ましだろ?」
 ヨウラン軍曹が否定した。
「だといいけどさ。
俺たちは、ファントム・ペインだろ?
軍紀は、他の部隊より厳しそうじゃん」
 ヴェーノ軍曹が本当に言いたかったことをヨウラン軍曹に伝えるとヨウラン軍曹は、黙ってしまった。
「今回は、何とか勝ったけどさ。
これが負けてたら俺たちの面目は、丸つぶれだぜ」
 ヴェーノ軍曹は、ため息をついて言った。
「それよりこれからだよ。
ミネルバとアークエンジェルには、もう稼動可能な機体がないんだぜ」
 ミネルバ、アークエンジェル、エターナルとガーティ・ルーも火器と防御力は地球軍艦艇の中でもずば抜けて性能が高い。
しかしそれは、モビルスーツ運用を前提にしたときの話であり直掩機がなければものの数分ともたずに撃沈されてしまう。
モビルスーツを配備されれば済む話だが戦績が悪い自分らに高性能モビルスーツが配備されるかが疑問だった。
そこに追い討ちをかけるようにおきたのがこの事件である。
このまま特攻作戦に駆り出される可能性もなくもない話である。
皆は、それが一番の不安だった。

                                       ※

 おぼろげな部屋にサオトメは、いた。
自分の目の高さは、一般的ないすとほぼ同じ高さであり幼いころの記憶だとおぼろげに感じた。
目の前には、ピアノを女性が弾いていた。
この曲は、聴いたことがある。
確か西暦にルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが作曲した『テリーゼの為に』だとわかった。
サオトメの母親は、ピアノが好きでこの曲は特にお気に入りだった。
母親は、幼いころからピアノを習っておりその辺の人よりもうまいのは聞いていたが幼いサオトメにとって見ればどの人物が弾く音楽も同じに聞こえてしまう。
 弾き終わったのでサオトメは、母親の許へと向かった。母親の大きな手がサオトメの頭を優しくなでた。
「アツシは、機械が詳しいけど音楽もやってみるといいわ。
とっても楽しいのよ」
 サオトメには、母親の顔がぼやけて見えておりちゃんと声も届かない。
しかしサオトメは、母親が笑っているとわかっていた。
部屋は、普通のリビングルームであり特別何か変わった造りであるとかそういうものではない。
ありきたりである。
しかしサオトメにとって見ればそのありきたりも普通である。
「ただいま」
 父親が帰ってきた。
「お帰りなさい」
 父親が帰ってくるとサオトメは、今度は父親の許に走って行った。
サオトメは、荷物を置いた父親に抱きあげられた。
「また壊れ物を持ってきたんだ。
修理できるか?」
 父親は、もって帰ってきた荷物の中からなにやら古いノートパソコンを出してきた。
「もう、あなた。
アツシにまたそういうのを渡して。
小さい部品をこの子が誤って飲み込んだらどうするの?」
 母親は、サオトメの身を心配していた。
「大丈夫だって。
なんたって3歳の時からアツシは、機械いじりを得意なんだし今までそんなことなかったろ?」
 一方父親は、ひょいひょいな感じでまったく問題視していなかった。
「ねえ、部品はある?」
 サオトメは、一通りノートパソコンを見ると父親に尋ねた。
「ああ、ここに。
廃棄部品を会社の許可を得てもって帰ってきた」
 サオトメの質問に父親は、もうひとつの荷物の口をあけた。
そこには、小さな部品がいっぱいあった。
「これ今主流の規格品?
古いノートパソコンには、使えないかもしれないよ。
むしろこれだけの部品があるなら新品作ったほうがいいかも」
 サオトメは、部品を見ながらそう言った。
「おお、そうかそうか」
 父親は、得意そうに笑っていたが母親ははらはらしていた。
「まあここで話していても仕方ない。
もうすぐ夕飯だし台所に行くぞ、アツシ」
 そういうと頭をなでていた手がすっと離れて目の前に差し出された。
サオトメは、導かれるようにその手をとって台所に向かった。
気がつくとホワイトシチューのいい香りが家中に広がっていた。
 玄関から廊下を通って台所に入った。
そこに入ったとたん父親のぬくもりが消え気がつくと真っ暗闇の中にいた。
「お父さん、お母さん」
 サオトメは、不意に恐怖に襲われた。
「どこ行っちゃったの?」
 それは、よく見る迷子のような光景である。
しかし周りを見ても闇。
動こうにも動けない。
それが普通の迷子とは、異なるところだ。
迷子は、相手を探すためいろいろなところに移動する。
しかしサオトメの場合周りがよく見えない暗闇であるためその場から動けないのである。
とうとうサオトメは、泣き出してしまった。
しかし両親は、もちろん誰一人助けに来てくれる人は、来なかった。
 どのくらいないただろうかもう泣きつかれた時突然地面が揺れた。
後ろを振り返ると機体の色が水色で1つ目を持つ巨人がたっていた。
本能的に殺されると判断した体が一目散に逃げようとした。
その巨人が歩いて追いかけてきた。
「お父さん、お母さん。
どこ?
助けて」
 サオトメは、なきながら両親に助けを求めた。
しかしやはり両親も誰も助けてくれない。
そして走っていると不意に足首をつかまれてサオトメは、転んだ。
何かと見れば血まみれの大人たちがサオトメの足首をつかんでいた。
「死ね」
「死神に罰を」
「殺せ。
八つ裂きにしろ」