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オクトスクイド(4) ハイカラスクウェア奇襲編

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あれから二週間がたった。気疲れはあれど厳しい訓練以外は慣れていった。この前の件も実はサキ総隊長とミア副隊長が自分をオクトスクイドであることを気付いていたからこそ自分を精鋭に入隊させたと話してくれ気持ちを知りたかったとはいえ、からかう様なことをして申し訳ない。と先日対面で謝られた。

「サキ隊長。本日の指導お疲れ様です!」
「アア。カンナ。オ疲レ様。ゴメンナサイネ。急二呼ビ出シテ。」
「大丈夫です。で、どのようなご用件でしょうか?」
というと、
バシッ!!
「うわっ!」
急に後ろから肩を叩かれた。
「ミア副隊長??」
さっきカンナの肩を叩いた張本人のミアは、カンナの肩を次は優しくポンポンと叩いた。
「ほら、肩に力が入りすぎですわ。私たちの仲なのだから、もっとリラックスしていいのよ?」
「ソウネ。コノ面子限定デ、呼ビ捨テデモ構ワナイワヨ?プライベートト仕事ハ関係ナイシ。私自身、総隊長ッテ呼バレルノ好キジャナイノ。」
「えっ・・・そんな・・・。上司だし、そんなおこがましいことできませんよ。」
というと、サキ総隊長とミア副隊長は少し残念そうな顔でしゅん。とした。
うっ・・・・。
っと、その顔にカンナの良心が撃ち抜かれる。
「やっぱり、だめかしら・・?」
「・・・・・・・・。」
「ゴメンナサイネ。無理サセチャッテ。」
・・・・・・・・・。
「じゃあ、サキ先輩、ミア先輩って呼ばせてください・・・。」




「デ、本題ニ入ルワネ。」
と言ってサキ先輩は机から一枚のファイルを取り出し、ファイルごとカンナに渡す。
紙束を取り出すとそこには今度行われる任務の内容がぎっしりっと書かれていた。しかもプランごとに分かれており、失敗したときに備えてのプランなど多様な計画が書かれていた。よく見れば作成者は総隊長サキと書かれている。

「ミア、詳細ヲ宜シク。」
はい。と言ってミア先輩が詳しく説明してくれた。

ハイカラスクウェア奇襲作戦。

来週、イカの世界では「フェス」と呼ばれる祭りが開催される。その祭りは一か月に二日しかなく、ハイカラスクウェアにいるイカの殆どが参加しており、今地下を制圧せんとしている宿敵「4号」もそれに参加している。なのでこちらに対する警備は薄くなり、こちらにとっては好都合である。しかし、地上への道には2号ことホタルが監視している。そのホタルを一時的に抑え、(危害を加えてはいけないとボスから命令されているので抑えるだけにする)その隙に4~5人ほど地上に上がらせ、イカを4人ほどさらってくる。という作戦だ。
「なるほど・・・人質にするんですね。そのイカ。」
「違ウワ。実験体ガ欲シイッテ研究所カラノ命令ヨ。」
「実験体!?」
「研究所も今大変なんですのよ?ボスが、“イカの考えや行動は単純だから、頭脳さえ解析すれば我らが忠実な僕として利用できる。だから早くあれを完成させろ”・・・。なんて圧かけるから、大忙しですの。」
と言ってミアはゴーグルを外し、片目をつぶりながら自身のゴーグルを凝視した。

「だから研究所もあいつ以外のイカでサンプルが欲しいのですわ。」
はぁ、とサキ先輩は疲れたようにため息を吐いた。
「本当ハコノ作戦ハ第3ト第4ノ合同デヤル予定ダッタノ。デモ第3隊長ガ凄ク嫌ガッテネ。精鋭ノ仕事ニナッタノヨ。」
「第3?ヤナギ先輩が?どうしてです?断るなんてヤナギ先輩にしては珍しいですよね。」
そうカンナが聞くと二人はバツが悪そうに目を合わせ、サキ先輩が答えた。
「アナタハ知ラナクテイイ事ヨ・・・。」
「えっ・・・・・でも・・・。」
「知らぬが仏、ですわカンナちゃん。」
なんで自分には教えてくれないんだろうか・・。という感情もあったがそこは大人の世界なので深入りしてはいけない気がしてきた。

「はい。気を付けます。」
「ッテ事デ、今度宜シク頼ムワネ。」
「はい。わかりました。しっかり読んで頭に入れてきます。」
と言ってカンナは部屋を後にした。

「カンナちゃん、初の任務で緊張してますわよね。」
「マァ、大丈夫デショ。ソレヨリミア、私オ腹空イチャッタワ・・。」
そこは後輩の事を心配しないのか?と、がくっとミアが崩れる。
「先輩、さっきご飯を食べたばっかりですわよね??」
「ダッテアレジャ足リナインダモン・・・。」
「最近食べ過ぎて太ったからご飯は3杯までに減らしてるって張り切ってたじゃないですの・・・。いや、先輩は太ってないけど…」
「コンナニオ腹ガ空カセル程働カセルノガ駄目ナンダワ・・・只デサエコノ歳ニナッテ代謝落チテキタノニ。コノブラック部隊・・。」
といってサキは机に突っ伏してしまった。
「この歳って…まだ先輩21ですわよね?」
「アナタニ比ベタラモウ歳ヨ。世間カラ見タラババアカモネ。」
「世間がシビアすぎるのがいけないのですわ。先輩しっかりしてくださいな。心まで老いたら体まで老いちゃいますの…。」
 
「・・・ミアノ手料理食べナイト頑張レナイ。」
と、意気消沈するサキを見てミアは仕方ないですわね・・。と言いキッチンに立った。
「・・・・・何が食べたいですの?」
とミアが言うなり、サキは突っ伏したままプリンと答える。何個ですか?と聞くとサキは指を3本立てた。

ミアはサキの立てた三本の指の中の二本を無理やり畳み込み、一本にした。
「サキ先輩。30個のプリンを作れるような材料も時間もありませんわ・・。」
何を隠そう、サキは生まれつき極度の大食いなのである。本人曰く満腹という概念を感じ取った事がなく、出されるご飯が少ないといつも食事の時間にミアの前限定で嘆いている。

「・・・・・ナラ早ク地上ニ出ナイトネ・・・。」
「ええ。早く侵略してしまいたいですわよね。豊かな暮らしに戻れるように・・」
とミアが言うと、サキはうつろな目で
「・・・・・地上ナラオイシイ物沢山アルシ・・・。」
「先輩、お願いですから今の言葉、私以外に言わないでくださいね・・?」


部屋を出たカンナはずっと考えていた。
(タコツボックスに間違って押しつぶされて無傷だったヤナギ先輩でも弱点とか嫌な物とかあるんだなぁ)




それから何度か真夜中を過ぎ、時間は緩やかに刻一刻と流れていた

ある日の午後。
地下世界の入り口に人影がいた。
それは昼から変わることのない空を静かに見つめていた。その空は作り物で、本物の空を模した映像だった。太陽の陽を求める者たちがいつか本物の地上に上がることを夢みて作られた偽物の空。
その人物は着物をまとっており、地下世界と地上のつなぎ目であるここで探し物をしていた。

「・・・・・今日も進展はなかったんね。」
ため息をつき、傘をたたんで縁側に腰を下ろした。
相方がいなくなってもう何日たったんだろう。仕事の休みを貰いこうやって藁を掴む思いで探しているものの、いまだに痕跡すらつかめてはいない。
しかし、ただ一つだけわかることがある。自分の探している人はこの地下世界で自分と同じ偽りの空を見ているということだけ。

「アンタ、ひどかよね。」
別れの言葉一つもなしにあたしに黙って消えてしまうなんて。
恋しい男を探すみたいに必死になったけど、残酷にも時間が進んでいくだけだった。