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かうが〜る
かうが〜る
novelistID. 65743
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ストライプ ep.1

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運命的な出会いなんて言ったらステキだけど、当時のわたしは運命なんてものにはほど遠いくらいお子ちゃまで、情けないくらいに少年だった。ああ、お子ちゃまなのはしょうがないとしても、せめて女の子らしくいたかった・・・。

 体調を崩して自宅療養中だったわたしは、少し不規則な生活を送っていた。学校に行けない分の受験勉強をひとりでしていたというのもあるけれど、太陽が顔を出すまで眠れず、顔を隠す頃に起きたり、その逆で太陽が隠れる頃に眠り、顔を出す何時間も前に起きたりと、心と身体をうまく調整できずにいた。
 勉強に飽きてくると、ひたすら空を眺めていた。形の変わる雲を楽しめる昼間の空も好きだけど、わたしは夜の空のほうがずっと好き。小さい時に星座の本を買ってもらい、そこから夜空を好きになった。よくわからないけど、あれが北斗七星。だから、こっちがカシオペア座で、きっとあそこにあるのが北極星。小さい時はそんなレベルだった。小学校、中学校と時を経て、少しだけ夜空にも詳しくなった。やっぱり冬に見られて大好きなのは、オリオン座。東から上って南をとおり、西に沈んでいくオリオン。同じ星座なのに、季節によって同じ時間に見上げても同じ場所にいない不思議な星座。天体だからそんな動きは当たり前なのかもしれないけど、オリオン座にはロマンを感じる。いつの頃からか、オリオン座の位置で季節の移ろいを感じるようになっていた。
 そんな毎日を過ごしていたある日、空ではなく、ふと下に目をやった。何の気なしに。新聞屋さんのバイクの音は聞こえるけれど、まだ犬の散歩に出る人もいないそんな時間、山からのびてくる道に黒い大きな塊を見つけた。それはあっという間に近付いてきて、うちの門塀の前を通り過ぎ、また暗闇に消えて行った。
「あ、あれは何?」
 得体の知れないものに恐怖し、あわててベッドにもぐりこみ、ぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめた。ガクガクと震えながらごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、そう繰り返しつぶやく。気付いた時にはお昼を過ぎていた。知らない間に眠っていたようで、扉をノックされる音で目を覚ました。
 母親に明け方あったことを一部始終話したが、「きっと、きつねかたぬきに化かされたのよ」と笑って取り合ってくれなかった。わたしは本気で怖かったのに、呪われたらどうしようって思ってるのに、てか、もう呪われてるかもしれないのに!その日は妖怪について悶々としていたので勉強はほとんど手につかず、階下から母親に夕飯だと呼ばれるまであの黒い塊におびえていた。
 夕飯もほとんど喉を通らず、早々に自室へ戻る。心の中では「あの黒い塊、また見ちゃったらどうしよう」でいっぱいになっていた。絶対に今夜は眠らないぞと決め、英語のリスニング対策用に毎日聞いている外国人向けのラジオをつけっぱなしにする。明かりも煌々とつけ、コーヒーをしこたま飲んだ。しかし、普段飲み慣れていないコーヒーを飲んだせいで具合が悪くなり、ベッドに入らざるを得なかった。
「うぅ、気持ち悪い・・・」
 眠りたくはないけれど、体を横にしていないとつらい。仕方なく枕元にたくさんのぬいぐるみを置き、毛布の下にもたくさんのぬいぐるみを忍ばせた。お気に入りのぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめ、来るな、来るな、来るな、来るな!と、自分に寄せ付けないようにしっかりと念じる。眠ったらダメだと思えば思うほど眠気はやってきて、眠気に抗えば抗うほど、眠気は絡み付いた。抵抗するのをやめたら眠気って消えるかも?そう思い、抗うのをやめてみた。
 大きな「Goooooooooooooood morning!!!!!」といラジオからの陽気な声で飛び起きた。煌々と明かりのついたわたしの部屋と同じくらい外は明るくなっていて、黒い塊を見ることもなければ、夢にもみることもなかった。
「あ~、よかった」
 わたしは呪われていなかった。そう思って胸をなでおろしたと同時に、あれっていったい何よ?という疑問がわいた。畏怖の念もあるが、真相を知りたいという変な好奇心がむくむくと膨らんできた。一度膨らみ始めたわたしの好奇心は、ちょっとやそっとじゃしぼまない。しぼむなんてことはめったになくて、膨れすぎて破裂するか、延々と膨らみ続けるかのどちらかだ。あんなに怖かったくせに、今は退治してやろうかというくらい強い気持ちになっていた。怖いのが嫌いなのに、好奇心がそれを取って食った。急に元気が出てきて、黒い塊に名前まで付けてやった。
『ブラックマン』
 以前、怪奇現象番組で見た外国の怪人『スレンダーマン』からもじった。スレンダーマンは細長くて黒いけど、わたしが見たのはおっきな塊だもん、ブラックマンがちょうどいい。それが男なのか、男でないのか、物質なのか、はたまたエネルギー体なのか、まったくわからないけれどしっくりきた。ブラックマンの正体を突き止めてやろうと思い始めたら俄然やる気が湧いてきた。今まで以上に勉強に身が入り、ご飯の量も増える。今夜からは眠らないようにではなく、いかに朝早く起きるかを考えた。はて、でも妖怪やお化けの類は丑三つ時というのがセオリーではなかろうか?そう思いついた時には眠気の沼に首まで浸かっていた。
「ふごっ」
 自分のいびきで目を覚ます。誰に聞かれるわけでもないが恥ずかしかった。うわっ、よだれまで垂らしちゃってるじゃん、きたなっ!何とも情けない寝姿に少し笑ってしまう。寝てるときって無防備よね、あはは。早く眠りについたおかげで、外はまだ暗かった。新聞配達のバイクの音が遠くに聞こえる。うん、いい時間じゃない?朝のラジオを聴きながらブラックマンを待つ。
 外は寒いだろうか?ブラックマンは冷たいのかな?もしかして冬将軍?あんな黒い塊なんて今まで見たことなかったけど、冬特有?それとも一年中なのかしら?ネットで調べてみようか?でも聞いたことないし、出てくるかな?あっ、もしかして新種の妖怪?でも妖怪に新種なんてあるのかな?もしかしたら、付喪神とかだったりして!もし神様なら大事にしなくちゃね。でもあの感じ、効果音をつけるとしたら『ゴゴゴゴゴゴゴゴ』って感じなんだけど、本当に神様なの?神様だったらもっと軽やかな効果音のほうがしっくりくるんだけど・・・
 頭の中がくるくると回転し、次々と展開していく。あっ、じゃあ、もうこれじゃないかしら?と、いい感じのことを思いついた。しかし、その思いつきは山からやってきた黒い塊を見た瞬間に忘却の彼方へ葬られた。ブラックマンは今日も『ゴゴゴゴゴゴゴゴ』とやってきて、うちの門塀の前を通り過ぎ、また暗闇に消えて行った。
 不思議と初めて見た時の恐怖感はなくなっていた。あれ?怖くない。初めて見たときは得体が知れなさすぎて怖かっただけ?あれ、もっと怖いと思ってたのに、へ~んなの。それからは毎日ブラックマンが現れる時間に起き、ブラックマンの登場と共に一日を始めた。
作品名:ストライプ ep.1 作家名:かうが〜る