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エクスペクト・パトローナム

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「エクスペクト・パトローナム。
エクスペクト・パトローナム。
エクスペクト・パトローナム。
エクスペクト・パトローナム!」
いつまでたっても、僕は守護霊が出てこない。
ルーナも、あのネビルだって出したのに。
「ロン!幸せな思い出を頭に浮かべながら呪文を唱えるの。わかった?
何回も言ってるでしょ。」
それを聞いて、僕は理解した。
「ないんだ。僕に最高の思い出なんて。」
そこそこの声量で言ったせいか、数人がこっちを見た。
「それはどういうこと?」
僕は少し考えてから答えた。
「ハリーやハーマイオニーといるのは楽しい。シェーマスとかと、馬鹿やるのも楽しい。フレッドやジョージだって、なんやかんや僕に構ってくれる。
だけど、その何倍も辛い思いをした。
そりゃ、ハリーに比べたらどうってことはないかもしれない。ハリーに言えば、自慢だって皮肉言われるかもしれない。家族がいるだけ幸せなんだぞって、思われるかも。
だけど僕は、ママやパパに誉められたことがない。
ビル兄さんがすごすぎた。チャーリー兄さんがすごすぎた。
家に帰れば比べられた。
フレッドやジョージも、成績は悪いかもしれないけど商売に関しては才能があった。
ビル兄さんはまず頭がいいときた。
ジニーは末っ子だし、女だからいつも誉められてる。
僕何てそっちのけさ。
監督生になれたのだって、ダンブルドアだったからだ。
これがマクゴナガルやアンブリッチだったら確実に僕じゃなかった。
いつも、幸せじゃない。
ほんとは箒なんて欲しくない。
地位や名誉だっていらない。
ただ、ちょっとママに誉めてほしいだけ。
ママが僕に笑いかけたことなんて一回もない。
幸せなんて、なかったよ。」
声が震えた。
哀れむような目で皆が僕を見る。
何もかも嫌だった。
いつの間にかハリーも、フレッドも、ジョージもいた。
シーンとしている部屋。
「ばいばい。」



『アバダケダブラ』



僕は、床に倒れた。



END