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日常ワンカット

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アフロディーテの日常編


【8:00 a.m 起床】
そろそろ教皇が出勤してくる時間なので、渋々起きる。少々低血圧の気があるので、朝は苦手だ。
「……ああ、昨日夜更かしし過ぎた」
自嘲するように呟く。
昨夜は続き物のミステリー小説が面白くて、結局最後まで読み耽ってしまった。
その冊数、10冊。眠ったのは東の空が明らむ頃だ。自分でも、馬鹿だと思う。
どうして途中で止めることができなかったのか……。
まったく、ミステリー小説はタチが悪い。
取り敢えず。教皇の出勤時に起きていれば当面の災難は避けられるので、アフロディーテは怠い体に鞭打ってシャワールームに入った。
バスタブに入り、温いシャワーを浴びていると……自然に瞼が重くなる。
「う……」
肩にかかる水滴が、マッサージのようでひどく心地よい。
全身に残る眠気が、このシャワーで益々増幅されているような気がする。
と、アフロディーテがヒュプノスの誘惑に負けそうになった、その時!
「!!」
双魚宮の入り口に、強大な小宇宙が到着するのを感じた。
間違いない、この小宇宙は……。
アフロディーテの背筋を、戦慄が駆け抜ける。
こんな所でうとうとしている場合ではない!!
慌ててバスタブから跳ね上がると、シャワーを止めてバスローブを纏う。
長い巻き毛がまだ濡れているが、そんなのはどうでもいい!
サンダルをつっかけ、テラスに出る。
すると、丁度双魚宮を通過中の強大な小宇宙の主は、アフロディーテの姿を見て苦笑した。
「随分と、色気のあるナリをしておるな」
世に並ぶもの無し美男子が、蒼金の髪から水を滴らせている様は、シオンの言葉通り『随分と、色気のあるナリ』であった。
するとアフロディーテは、その端正な容貌にしおらしい表情を浮かべると、
「朝からお見苦しいものをお見せして、申し訳ありません」
「まったくだ。人前に姿を見せる際は、もう少し身なりを整えよ」
親のような口調で説教するシオンに、アフロディーテは一言御意とだけ答え、頭を下げる。
彼の前を無言で通り過ぎる教皇。
シオンが去っていった後、アフロディーテは安心したように大きく息を吐いた。
シオンが教皇の間に行ってしまえば、最低でも昼までは下の宮に降りてこない。
(時たま白羊宮に昼食を食べに戻る事があるのだ)
それを知っているので、ぐいっと大きく背伸びをすると、ぽつりとこう呟いた。
「後、3時間は眠れるな」

【10:00 テラスで読書】
アフロディーテの固定の仕事として、魔宮薔薇の手入れがある。
教皇の間に続く魔宮薔薇は、アフロディーテが聖域に出向した際に手入れをしている。
「……この薔薇は虫が付かないから、そこは助かっているのだけどね」
パチンパチンとはさみで無駄な部分を切り落としていく。出たゴミは、後でデスマスクに積尸気に捨ててもらう。
一応この薔薇は猛毒なので、やたらな人間が触ると命を落としてしまうのである。
一時間ほど作業をしたら、シャワーを浴びて部屋着に着替える。
「今日はエラリー・クイーンにしよう」
本棚の中から推理小説を何冊か手に取り、テラスの長椅子に腰掛ける。
双魚宮から望むエーゲ海の景色は、絶景という他ない。
作品名:日常ワンカット 作家名:あまみ