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日常ワンカット

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アフロディーテのある朝編


「……誰だ。こんなに私に仕事を回してきたのは……」
朝起きてパソコンを立ち上げたアフロディーテは、メーラーを開いて絶句した。新着メール20件。そのうち10件は知人女性からのお誘いで、残り10件は教皇の間からの仕事依頼だった。
「株主に対するプレゼンテーションのための翻訳依頼について」
「6月のスイス出張について」
「今年のバイロイト音楽祭の護衛詳細について」
「アイオリアとミロの語学教習について」
一つ一つメールを開き、添付ファイルも確認する。
このPDFファイルを丸ごと翻訳なんて、結構無茶なことを言う。何ページあると思っているんだ、これ……。
6月のスイス出張はサガの方が適任だろうに、私がドイツ語を習い始めたらこれか。
バイロイト音楽祭は毎年行っているから、これは仕方ないか。アテナの護衛といっても、ほとんど付き人のようなものだから。
アイオリアとミロの語学教習とは、どさくさに紛れて私の仕事を増やそうとしているな。
アイオリア相手なら、アイオロスが無精せずに教えてやればいい。私を巻き込むな。
腹の中で色々考えるアフロディーテだが、そのような事はおくびにも出さずに完璧なビジネスメールを打ってみせる。
「……まったく、どうしてこうなったのだか」
椅子に深く腰掛け、息を吐き出す。
アフロディーテは自分で言うのもなんだが、黄金聖闘士の中では強い方ではない。むしろ、下から数えた方が早いくらいである。
けれども戦いがなくなってからは、12人の中で1、2を争うくらいに忙しい立場になっている。
以前ならば、アイオリアを派遣して相手をぶちのめせばよかったのだが、今はそうはいかない。交渉のテーブルにつき、あれこれ相手とやり合わなければならない。
アイオリアやミロでは、
「ええい、面倒!」
等と叫び、相手をぶちのめすのが関の山である。
「……私の他にこのような仕事が出来そうなのは、カミュくらいか。しかしカミュは弟子持ちだからね」
ため息をつくアフロディーテ。カミュは弟子が居ると理由を付けて、なかなかシベリアから出てこないのである。
……まぁ、聖域に出向すると色々面倒を押し付けられるから、彼の気持ちはよくわかる。
「……強いだけではダメなのだよね。今のご時世は」
皮肉っぽくそう呟いたアフロディーテは、パソコンをシャットダウンさせると台所に向かった。
朝食がまだなのだ。
作品名:日常ワンカット 作家名:あまみ