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日常ワンカット

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ウェディングソングを貴方に編


「この前アテナに頼まれて、日本の結婚式でちょっと弾いてきたけれど」
第二獄の花畑に住む神に愛されたミュージシャンは、ココアを飲みながらそう切り出す。
オルフェの向かいのソファでフレットレスベースの練習をしていたファラオは、ほんの少しだけ目線を上げると、
「また何かあったのか?」
「ああ」
柔らかそうなくせ毛が揺れる。
見た目は軟弱そうなこの男が黄金聖闘士に匹敵する力を持つと言われても、俄には信じ難い。
オルフェはマグカップをテーブルの上に置くと、ぼそっと、
「“I Will Always Love You”とか、“Amazing Grace”をリクエストされた」
「はぁ?」
ファラオも、それには思わず奇声を発する。
「お前それ、何の冗談だ?」
「いや、冗談でなくて、本当の話。その2曲のどちらかを歌って欲しいって言われて、本気でビックリしたよ」
肩をすくめるオルフェ。
ファラオはソファの上に寄りかかり、ベースを膝の上に置くと、
「そりゃ、ビビるな」
「一応僕、“I Will Always Love You”は、恋人と別れるけれどずっと貴方を愛し続けるって歌で、“Amazing Grace”は、今まで色々やらかしてきたけれど、安らかな気持ちで天国に行けることを神様に感謝する歌だって説明したんだ。特に“Amazing Grace”なんて、アメリカじゃ葬式の歌なのに」
日本人は英語がわからないから、雰囲気で曲を選んでしまうのかな?
そうオルフェは締めくくる。ファラオはフゥ…と息を吐くと、
「わからないって、怖いことだな……」
「そうだね。もう少し結婚式に向いている曲、あると思うんだけどね」
苦笑するオルフェ。
もし自分が友人の結婚式で歌うとすれば、何を歌うだろうか。たまに、そんな事を考える。
「僕だったら、サイモン&ガーファンクルの“ミセス・ロビンソン”かな」
「いや、それは色々とマズいだろう」
使われた映画が、映画なだけに。
「せめて、セリーヌ・ディオンのタイタニックのアレにしておけ」
「結構お前もひどいね。新婚生活が氷塊で真っ二つになりそうだ」
苦笑いするオルフェ。まったく、この冥闘士もなかなかひどいことを言う。
作品名:日常ワンカット 作家名:あまみ