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神殺の罪

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普通はあり得ない光景だ。ただの鬼が実力が上の鬼を喰らっているのだから。

大きさは目視2~3mはあるだろうか。下弦を手づかみで頭から喰らい、派手に食い散らかしている。体はとても筋肉質で”普通の刀”なら歯が通らないだろう。

「なんだよ、あいつ。下弦を喰ってるのか!?実力は下弦よりも上の奴に出くわすとか...。姉貴マジで斬る。」

木の上で鬼喰らいを観察していると、視線に気づいたのかこちらを見つけて雄たけびを上げた。

ヴァアアアアアアアアアア!

まるで獲物を見つけたかのような喜びが混じった声だった。

「見つかった...。なら戦うしかないかぁ。」
見つかったと分かり呼吸をする。朽糸葉が特殊な呼吸を始めると木々が騒めき始めた。まるで”木々と呼吸”をするかのように、

朽糸葉は木の枝から飛び降り、呼吸をさらに加速させる。呼応するかのように小刀の緑の波紋が薄く発光する。

「木の呼吸。壱乃型 苗薙ぎ」

鬼が向かってくる朽糸葉を押し潰そうと手を前に出した時、いや、出そうとした時にはもう向かってくる人影は見えなかった。瞬間鬼は前に倒れこんだ。

鬼の足は膝から下が一刀両断されていた。鬼は”首”を切られなければいくらでも再生する。足はすぐに生え、立ち上がろうとしたとき鬼の視界はグルグル縦に回った。

「木の呼吸。参乃型 木昇り」

鬼が最後に見た景色は月に照らされ、飛び上がる女性のような小刀を持った人間だった。
作品名:神殺の罪 作家名:白鏡 輪