二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

悪魔言詞録

INDEX|69ページ/152ページ|

次のページ前のページ
 

84.地母神 クシナダヒメ



 すっごーい。召喚主くん、本当にあんな強敵をこの短い時間であっさり倒しちゃったの?

 ごめんね、召喚主くん。あたし、最初は正直、強くなさそうだなって思っちゃってた。けど、実は強いんだ、すっかり勘違いしてたよ。

 でも、おかしいなあ。あたし、強い男の人を見る目だけはあると思ってたんだけどなあ。

 あたしね。実は昔、化け物のいけにえにされて、食べられちゃいそうになったことがあったんだ。そいつ、ものすごく乱暴で蛇がいっぱいくっついたようなやつなんだけど、7人いたあたしのお姉ちゃんたちはみんないけにえにされて食べられちゃった。で、残るはあたしひとりっていう状況だったの。そんなときに、ひとりの男性がひょっこり、私たちのもとを訪ねてきたのよ。
 私ね、その人のことをひと目見ただけで確信したの。この人ならあの化け物を絶対に退治してくれるってね。あとはこの人が化け物退治を引き受けてくれさえすれば、私は食べられずに済むのになあ、なんてぼんやり思ってたっけ。そしたら、その人は私との結婚を条件に化け物退治を引き受けてくれたわ。あたしも彼なら、結婚しても別に構わないなって思った。

 そう思ったらね、不思議なことにあたし、姿が変わっていたの。何になっていたと思う? くし。あの髪の毛をとかすのに用いるくし、あれね。あれに変化していたのよ。

 それでくしの状態のまま、彼の髪にくっついて化け物を退治する一部始終を見ていたんだけど、彼、まず戦の初手からもう全然違っていたわ。入念に準備をして、相手の化け物をまんまとだしぬいた。それだけのことができる頭の良さもあったのよ。そして弱りきった化け物を、さっきのあなたにも匹敵するぐらいの強さで一気に倒してしまったというわけ。

 まあ、そんなわけでその人の伴侶になったもんだから、あたし、強い人のことをを見る目だけはあると思ってたのよね。でも、召喚主くんのことはさすがに見抜けなかったなあ。うーん、残念。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔