悪魔言詞録
80.妖精 トロール
おーい。そこのおまえ、おでのはなしをきいてくれよう。もうおまえがつよいのはわかったからよう。もうこうさんするからよう。おでのはなしをきいてくれよーう。
ああ、ようやくとまってくれた。おまえ、あんがいすばしっこいんだなぁ。それだけじゃなくて、ちからもつよいときた。それに、いろんなあくまもつれているし、さぞかしあたまもいいんじゃないか?
ああ? はやくはなしをしろ? ああ、そうだ、はなしをするんだったっけ。
なあ、おで、もういやになっちまったんだ。じぶんのばかさかげんってやつにさぁ。じぶんでいうのもなんだが、おで、うでっぷしはそこそこあるとおもってるんだけど、ばかだし、とろいし、そんなんだからいっつもうまいようにやられっちまうんだ。おかげで、ほうもつこのみはりばんもできやしないんだよ。だからさぁ、おまえみたいにすばしっこくなって、あたまもよくなって、たくさんのなかまときょうりょくをすればいいんじゃないかとおもったんだ。でも、おもいついたのはいいんだけど、ばかだからどうしたらそういうふうにできるかわからないんだ。
だから、おまえにそのほうほうをおそわりたいんだ。じょうずにまねっこをすれば、きっとおででもうまいこと、やっていけるとおもうんだよ。だからさ、おまえ、おでにいろいろおしえてくれないか?
あんだって? そこまでわかってるんなら、もうだいじょうぶ? いやいや、そんなことばにはだまされないぞ。そうやって、おではいままでだまされつづけてきたんだからな。でも、じぶんだってそんなによくわかってないし、おしえられない? うそをつけ! さてはおまえ、そんなふうにいってうまいことやるこつをひみつにしようとしてるんだな。
もうおこったぞ。いまからおまえをこらしめて、ひみつをおしえてもらうからな。
なに、じゃあしょうぶをするけど、おまえがまけたらなかまになれ?
いいじゃないか、のぞむところだ。こんどこそやっつけてやるぞ。