悪魔言詞録
73.夜魔 サキュバス
ね、召喚主さん。暇じゃない? お姉さん、今すっごく、退屈なんだけど。
もうそろそろオベリスクも頂上が近いから、我慢しろ? まあ、そりゃ、他ならぬ召喚主さんのご指示だからそうするけど、もう少し肩の力、抜いてもいいんじゃない?
ちょっと前にさ、バフォメットのやつも言ってたけど、召喚主さん、ちょっと遊びを知らなすぎるのよね。マジメくんと言うかさあ……。
ねえ、冷静に考えてみなよ。あたし、あのサキュバスなんだよ。本とか漫画とかゲームとかで見たこと、あるでしょう? あの伝説の淫魔とずっと一緒にいて、本当に何にも考えていないわけ?
召喚主さんも男の子なんだから、女の子にああしてみたいとか、こうしてみたいとかいろいろ考えていることもあるでしょう? お姉さんになら、そういう思いをぶつけてくれたって別にいいんだよ。どこかの小部屋で休んで、いろいろとすごいことをするのもいいし、何なら今にも敵がやってきそうな広間でするのもスリルがあっていいかもしれないよね。
はい? ぐったりして眠りこけたところに永眠のいざないを仕掛けられちゃたまらない? あら、お姉さん、そんなことはしないわよ。かけがえのない味方だし、他ならぬ召喚主さんなんだから。
でもまあ、ここには私の同族も敵として出るから、お疲れの中で戦闘して眠っちゃうと確かにまずいかもしれないわね。
でも、召喚主さん。あなたはやっぱり遊びも覚えるべきだと思うわ。お姉さんがちゃんと手ほどきしてあげるから、このオベリスクを登り終えたら、たっぷりと遊びましょう。いい、約束だからね。
いや、提案はありがたいけど、本性は老婆だってことは分かってるから、やっぱりやめておく?
こら、痛いところを突かないでよ。人間だってすっぴんになったら別人な娘もいるじゃない。それと対して変わらないでしょ。でも、それでも嫌だ?
もう、あんまりより好みしてると、こじらしちゃうからね。そうなってもお姉さん、知りませんよ。