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I love youにアイを込めて

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ねえアーサー、飲みに行こうか。





奴から俺にそう誘いがくるときは、大抵酷く機嫌の良いときである。
あるいは逆に酷く沈んだ気分のとき。

普段は俺が誘いでもしない限り外に飲みに行こうだなんてことにはならない。
おそらく原因は俺の酒癖の悪さにあるのだろうということくらいは理解している――いくら何でも流石に自覚はあるんだ、俺にだって。

しかしまあいつも俺が誘えばなんやかやと文句言いながらも付いて来てくれるし、泥酔したらしたで呆れつつきっちり面倒を見てくれる。


『腐れ縁だから、ね。俺が面倒見ないでどうすんの』

何故かと問うたらきっとそう言うだろう。
いつまでたってもどこか子供扱いの上から目線であることに、若干イラつきを覚えていた時代もあった。
今だって時折呼ばれる「坊ちゃん」という呼称に不満を持っていたりするのだ。ガキみたいだからそんなこと言わないけど。



でも、まあ、そうやって。

喧嘩しながら、憎まれ口叩きあいながら、時には本気で敵同士になったりもして。
それでも互いに認めるところは認めていて、どこか突き放せない空気があって。

嫌じゃなかった。
傍にあると落ち着いた。
出来ることなら失うのは嫌だ、と思った。


……まあ、その。
好きかな、と思っているわけで。



そんな奴との間柄だからこそ今日までずっと、ふらふら平均台の上を辿るみたいな関係は続いてきている。





お前だけを愛してる、なんて青臭いことは言ったためしがない。
何度も浮気して浮気されて、喧嘩して殴り合って、別れて。

それでも隣人、それでも仕事相手、要するにそれでも腐れ縁。
何年かすれば自然とまた関係は修復されて、そうしてまた恋人同士を始める。アホみたいにそれの繰り返しだ。




だから――なんとなく読めてしまう。

奴が俺を呼び出した意図というのが。





作品名:I love youにアイを込めて 作家名:あさひ