のんびり番茶
辺りは強い日光を反射し輝いている。
先ほどまで雨が降っていたからだ。
激しい明暗についていけずまぶしいと眼を細めながらも美しいと思い、二人は縁側の屋根の下から眺めた。
「番茶ですが…」
申し訳なさそうに菊がお盆に湯呑をのせ、運んでくる。
「煎茶をお出しするべきなのですが、ちょうど切らしていまして…」
「いや、それで充分だ。いきなり来たのは俺たちのほうだから」
「そーだよ、それにこのお菓子とならこっちのほうがあいそうだよ♪」
ルートヴィッヒとフェリシアーノはそう答えた。
風通しの良い、ラフな格好をしている。
バカンスでここ(日本)に来ているのであった。
「それで何かお気に召したものはありましたか?」
「うん、日本のお菓子は安いし、おいしいし、かわいいね〜」
「それに気軽に食べることができるな。ビールのつまみにもなりそうだ」
駄菓子を片手に微笑んだ。
菊の家に着く前、二人は駄菓子屋に寄っていたのだ。
独特の雰囲気のある店内や駄菓子にすっかりと魅了されて。
たくさんの駄菓子を楽しむ。
菊も一緒に味わっていたが、だんだんと口の中が甘くなってきた。
湯呑に手を伸ばそうとしたとき、ふと、あることに気がつく。
「お二人さんこれを見てください」
「なになに〜?」
二つの湯呑を彼らに見せる。
よく目を凝らすと水面近くに何か小さいものが頭を出している。
茶葉だろうか。
「なんだ、これは?」
「茶柱です」
「茶柱?」
どこかうれしそうに微笑む菊とこの茶柱が、どういう関係にあるのかと疑問に思う。
「ええ、縦に立って浮く茶の茎を茶柱といいまして、吉事の兆とされているんですよ」
それを聞いてうれしそうにうなずいた。
「なるほど。しかしすごいなぁ…。2つも茶柱が立っているとは…」
「ほんとほんと!」
素晴らしい出来事に偶然出会えたというようにはしゃぐ。
しかし、そのあと顔を曇らせた。
「あ、でも菊のやつは茶柱ないねー」
「ふむ…。菊、茶葉はあるか?」
「あ、はい。台所のほうに…」
「そうか、少しもらうぞ」
いったい何を考えているのだろう。
表情からはうかがえず、さっぱりわからない。
フェリシアーノもきょとんとして見ている。
「え、あ、どうぞ…。」
そして一分もたたずに戻ってきた。
先ほどの湯呑をもって。
「菊、これを」
受け取ったそれには茶柱が立っていた。
「ルートさん、これは一体…?」
「茶葉の先をスプーンで潰してきたんだ。あぁ、ちゃんと立ったな。よかった。」
「すっごーい!!」
嬉しそうにはしゃぐフェリシアーノ。
だが菊は、
「…気をお使いにならなくても……」
と、少し悲しそうな顔をして言った。
「いや、そういうわけではないが…」
否定しようとするが、口ごもってしまう。
そんな様子を見ていたフェリシアーノがニコニコする。
「菊、お前にも幸せがたっくさん訪れますようにって思ったんだよね、ルート!」
一瞬目を見開いたルートヴィッヒだったが、顔を赤らめてフェリシアーノの言葉にうなずく。
「…ありがとうございます、ルートさん」
同じくフェリシアーノの言葉に驚いた菊だったがうれしそうに、そして少し照れたように笑った。
よかった。
余計なことではなかったようだと、その笑顔を見てルートヴィッヒは思う。
心なしか、先ほどよりもさらに辺りが明るくなったような気がした。
Ende.
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初の小説です!
いろいろと不備があったかもしれませんがここまで読んでいただき、ありがとうございます!
タイトルってどうやって決めたらいいんだー!!?
文章で表現できねぇー!!
みんなの口調が分かんない!!
と、苦しみながら書いてましたww
駄菓子は何となく出しました。
とりあえず、枢軸がのんびりと仲良くしている様子が書きたかったのです。