四月の魚
呑まれることなく床に飛び散ったワインが踏みつけられ、ワインより尊いものを散らすために放たれた弾丸が頬を掠めるまで、彼はひたすら真摯に自分の想いの内を馬鹿正直に語ったのだという。
その会談より沸き上がった抗争が終結したのはちょうど日付変更線の前後。ヨロヨロと沢田は朝日をしょって帰宅した。帰宅し、自室のベッドが盛り上がっていることに疲弊するべきか照れるべきか悩んで、喜んでみた。
ヒバリさん、と呼べばシーツから顔すら出さない男にひっそりお帰りを投げられた。
そう、帰ってきた。戻ってきたよ。今日からまた頑張るよ。頑張るんだオレはまだ。
貴方に捧げる言葉すら、嘘に聞こえてしまうエイプリルフールが毎日訪れる世界よ、ただいま。