二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
獄寺百花@ついったん
獄寺百花@ついったん
novelistID. 7342
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

スペ初(感動)

INDEX|1ページ/1ページ|

 
(好きです、ジョット…)


あぁ…
今でも脳裏にお前の姿が焼き付いて離れぬ…

なぜだ…
なぜ私から離れたのだ…



~悲哀、裏切り、愛情~



ジョットには一人の愛する者がいる。
その者の為ならば、何も惜しくなどない程愛している。


ディモン・スペード。


スペードはジョットによくこう言った。

「好きです、ジョット。
愛してますよ…。
これからもずっと、一緒です…」

「そんなことわかっておる。
お前が私を愛するように、
私もお前を愛しているからな。」

けれど…


当たり前だと思っていることが
急に幻想と化す事がよくある。

その現実はあまりにも、
残酷で非情なるものだった。



スペードはボンゴレⅡ世のアジトに、仕事で訪れていた。

仕事を片付けて帰る時、Ⅱ世の部下二人が話しているのが聞こえてきた。

「ボンゴレⅡ世様がボスとなるには、今のボンゴレⅠ世が邪魔だな…」
「ならばⅡ世様の部下である我々が、Ⅰ世を抹殺すればいいのではないか!?」
「それで手柄が俺達の物に…
よし、決まりだぜっ」
「Ⅱ世様には内密に動くぞ。
事を荒げる気はないからな。」
「わかってるぜそのくらい…
行くぞっ!」


「……………そんなことはさせません。」


スペードはそう呟くと、
部下達より早くアジトに戻った。
向かうのはジョットの部屋。

ノックもせずに、ジョットの元に歩み寄った。

「どうしたのだ、ス…」

Ⅰ世が言葉を紡ごうとした瞬間、スペードが手刀で気絶させた。

「悪く思わないで下さい。
全てが貴方の為…」

その時、Ⅱ世の部下がのりこんできた。

「ボンゴレⅠ世を出せ!」

「何を慌てているのです…
Ⅰ世はもう、死んでいますよ。」
「何…?
あ…死んでいるぞ…」

「お前が、殺したのか…?
霧の守護者、ディモン・スペード…」

「おや、名前を知っているのですか?
…えぇ、僕が殺しましたよ。」

「守護者なのに…」

「そんなもの、僕には関係ありません。
…前々から裏切るつもりでしたから。」

「ま、まぁ結果的にⅠ世は死んだ…。
早速、Ⅱ世様に報告しようぜ?」
「あぁ、そうだな…」

「………待ちなさい。」

スペードは魔レンズを出し、
レンズ越しに部下達を睨みつけた。

部下達は硬直したが、やがて動けるようになり、一目散に逃げ出した。

「…やれやれ。
明日になれば、呪いで死んでいるでしょう。」

スペードは落ち着きを払って呟くと、ジョットの方を向いた。

「ジョット…。
僕はもう行かなければなりません。
裏切り者のレッテルが貼られても、貴方が守れたならそれでいい…。」

スペードはジョットに顔を近付け、キスをしてこう呟いた。

「…Arrivederci」

スペードはジョットの部屋を出た。

悲哀の心と後悔の念を胸に抱き、ジョットの元から去った。

「…貴方とずっと、ずっと一緒にいたかった。
ずっと貴方を愛したかった。
ずっとこの胸に抱きたかった…」
スペードは一筋の涙を流した。

…ジョットとの思い出を噛み締めながら。



ジョットが目を覚ましたのは、
スペードが去ったすぐ後だった。
唇に残る、微かな体温。
そして…目の前にある霧のリング。

「スペードは…
私の元から去ったのか…。」

無感情な声で言うジョット。

その時、Gがジョットの部屋に来た。

「ジョット!?
…生きてるのか?」

「私はまだ死んでいない。」

「じゃあ…
てめぇ、スペードに気絶させられたのか?」

「…あぁ。」

「なら話のつじつまがあうな…」
「何があったのだ、G」

「…実は、ボンゴレⅡ世からてめぇが死んだという情報が来てよぉ…」

「…何?」

「Ⅱ世の部下がスペードがお前を殺した、と報告したらしくて…」
「…!?」

「それでⅡ世の部下は、スペードの魔レンズに睨まれたらしくってよ…」

「な…んだと?」

「つまりそれでジョットが死んでねぇってことはアイツ、
裏切り者の名を背負う覚悟で、
ジョットを助けたんじゃねぇのか?」

「スペードが、か…?」

「あぁ、実際アイツは
アジトから抜け出したみてぇだし…」

「スペード…そんな…」

「…………」

Gは静かに部屋から出た。

誰もジョットの部屋に近付けるな、と守護者や部下に伝える為に。
「私は…スペードが全てだった…」

ジョットは一筋の涙を流した。
スペードへの愛、現実の残酷な運命に。

「もう会えないのか…?
スペード…
お前がいなければ、私は…

私の為に、裏切り者の名を背負ってまで…

お前の言葉は嘘だったのか?
ずっと一緒にいる、と
言ったではないか…

なぜ私も連れていかなかった…

なぜだ…
なぜ私から離れた…」

ジョットは泣きつづけた。
涙が枯れるまで。

涙が枯れても、泣きつづけた。

脳裏に焼き付いている、
スペードの声、姿…

全てが愛おしく、切なくて、とめどなく涙が溢れる。

(ジョット…大好きです。)
(貴方だけを、愛しています。)(僕はもう貴方を離しません…)(…死にませんよ。
貴方が死ぬまで、ね)
(笑って下さい。
僕は貴方の笑顔が大好きです。)
「スペード…」

ジョットはまた、泣き崩れた。




…fin