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獄寺百花@ついったん
獄寺百花@ついったん
novelistID. 7342
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スペ初(続き)

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スペードがジョットの元を去って数週間…

ジョット、俺はてめぇの為に何ができる?



~友情、優しさ、親愛~



スペードがジョットの元を去ってから、ずっとジョットは部屋で塞ぎ込んでいる。

ジョットの事を最も心配しているのは、幼なじみのGであった。

(アイツが去って数週間か…)

Gはジョットの為に食事を運び、一人でジョットの分の仕事をしたりしていた。

(俺がジョットの為にできる事、か…)

ジョットの為に何が出来るのか、それがGの悩みだった。

幼なじみとして、何ができるのか。

(…アイツとスペードの為を一番に考えるには、この方法しかねぇな。
だが、右腕の俺が言えるような事じゃねぇ…)

Gは三日程考えていた。
幼なじみとしてか、右腕としてか。

…どっちがジョットの為になるのか。



「…ジョット。ちょっといいか?」

Gは覚悟を決め、ジョットの部屋へ行った。

「…なんだ。」

感情の無い声。
ジョットは大分やつれていた。

「ボンゴレⅠ世の肩書きを捨てちまぇ。」

「何?」

「今の俺は、幼なじみとしての俺だ。
右腕としてじゃねぇ。」

「いいのか…?」

「どうせ寄せ集めの守護者達だ。何もいわねぇだろうよ。」

「ふっ…」

ジョットは微笑んだ。
目をつぶって。

「正式にボンゴレⅡ世にボスの座を継承する。
…てめぇは自由になれんだぜ?
スペードとも自由だ。」

「そうだな…。
お前は雨月と自由になれるがな。」

「なっ…て、てめ、
何で知ってるんだよ!?」

「幼なじみの事なら、大体分かる。」

「へっ、言ってろ!」

そういって、Gは部屋を出て行こうとした。

「G様!ジョット様!」

血相を変えたGの部下が走って部屋に入ってきた。

「…うるせぇ。何があった?」

「すみません…。
あ、あの、スペード様が見つかりました!!」

「何!?」

珍しくジョットが動揺した。

「…決まりだな。
おいてめぇ、今からボンゴレⅡ世のアジトに行くから部下を呼んで来い。」

「はいっ」

「…G。」

「礼はいらねぇぜ?
幼なじみとして、当然の事をやったまでだ。」

「お前らしいな。」

「へっ。んじゃ後で。
スペードを呼ぶから、心の準備をしておけよ?」

「あぁ…」

そういって、Gは部屋から出ていった。

「スペード…」

ジョットは愛しい人の名を呟いた。

「ジョット…!」

聞こえてきた、懐かしい声。
その姿は紛れも無い、スペードだった。

「スペード…何処にいたのだ、
心配したでは無いか…」

「会えて嬉しいです、ジョット。…Gから聞きましたが、Ⅱ世にボスの座を譲るというのは本当ですか?」

「本当だ。Gの為にもなるしな。」

「そうですか…。」

スペードは静かにジョットを抱きしめた。

「ずっとこうしたかった…。
この数週間、僕は後悔と貴方への思い出で押し潰られそうになりました…。」

「スペード…」

「泣かないで下さい、ジョット…。
僕は貴方の泣き顔は見たくない…」

「…お前は私の笑顔が好きだったな。
だが今だけは…」

「ジョット…」

二人は無言で涙を流した。

お互いの存在を確かめるように、いつまでも抱きしめあった。

「好きです、ジョット…。
愛してますよ…」

「わかっている。
私もお前を愛しているぞ。」

お互いに愛の言葉を交わしながら、見つめ合いキスをした。

「戻ってきてくれたこと、礼を言うぞ…」

「いえ、僕を迎え入れていただきありがとうございます…。」

二人は微笑みあった。
その時…

「話は済んだか?
…てめぇらの家も用意してある。」

「G、頼みがある。」

「…何だ?」

「私は幼なじみとして、お前を信頼している。
お前となるべく、離れたくない。」

「はっ、俺の幼なじみは昔から
ワガママらしいな…
いいぜ、お前の家の近くに住んでやるよ。
…雨月もいるがな。」

「僕も賛成です。
Gがいれば何かと安心ですし…」
「…スペード。これだけは言っておくぜ。
ジョットを泣かせるな。
アイツを傷つける事があれば、
いくらお前でも許さねぇ。」

「わかっていますよ、G」

「お前は裏切り者の名を背負ってんだ。
何かあったら俺に言えよ?」

「わかりました。
ありがとうございます…」

「スペード、G。
部下に荷物を片付けさせるから、そこをどけ。」

「それくらいてめぇでやれっ」

「まぁまぁ…。
Gも雨月の所へ行ってはどうです?
荷物もまとめなければならないでしょう?」

「そうだな。」

「あ、G殿!!
ここにいましたか、探したんですよ~…」

「何だ雨月?」

「荷造りが大体終わったので、
呼びに来たんですよ!」

「俺の荷物もか?」

「はい、大体は部下にやらせましたが…」

「てめぇら、部下を何だと思ってやがる…。」

Gは呆れ顔で雨月の元へ向かった。

「…変わりますね、ボンゴレ初代ファミリーの形が。」

「あぁ。…だが何代かした後に、同じような境遇のボンゴレファミリーが出来るだろう。
…十代目あたりに。」

「なぜ分かるのです?」

「…そんな気がしただけだ。」

「……なるほど。」

他愛もないスペードとジョットの会話。

ジョットはこれからも、愛する人と幼なじみに囲まれて暮らせる喜びを感じていた…




…fin