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獄寺百花@ついったん
獄寺百花@ついったん
novelistID. 7342
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雲誕

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いつもの応接室。
いつもと変わらない風紀委員。
いつもと変わらない冷徹な風紀委員長。

…雲雀恭弥。

何事にも動じず、最強の名を自分の物にし続けている男。

誰よりも並盛を愛し、大切にしている男。

そんな彼は今日、少し動揺することとなる。

今日は彼にとって、凄く特別な日だから…



~雲誕~



5月5日、子供の日

雲雀恭弥はいつも通り放課後の見回りを終え、応接室に帰っていた。

「今日はやけに風紀違反者が少なかった…。やっと並中の生徒だという自覚が出来たのかな。」

彼はいつもより機嫌がよかった。
違反者が少ない、これ程彼にとって嬉しい事はない。

ガチャ…
応接室の扉を開ける。

だが、彼の目前に広がる光景はいつもの見慣れた応接室ではなかった。

「HAPPY BIRTHDAY!!」

一斉に鳴るクラッカー。
辺りに舞う紙吹雪。

「…何してるの、君達?」

雲雀は少し怒った口調で言う。

「恭弥の誕生日だろ?
みんな集まってくれたんだぜ?」
ディーノが雲雀をなだめるように言う。

「…僕は何も頼んでないし、指示をしてないよ。」

「誕生日を皆で祝うのは、当然の事だろっ
ほら、こっち来いよ!」

ディーノが雲雀の腕をひく。

「はぁ…。今日だけ特別に群れるのを許すけど…。
次群れたら咬み殺すよ?」

「わかってるって…」

呆れた顔でディーノは言う。

雲雀の顔は、いつもより柔らかい表情になっていた。

ディーノに導かれた席に座ろうとした、その時…

「…君の誕生日になんて興味はないけど、ジョットがどうしてもって言うから来たんだよ?」

初代雲の守護者、アラウディが口を開いた。

「何で君がこんなところにいるの。」

「…話聞いてなかったの?
ジョットがうるさいから来たんだよ。」

「ふ~ん…」

「別に君の誕生日なんてどうでもいいよ。ただ…」

「?」

「…おめでとうとだけは、言っておくよ。」

「珍しいね、君がそんなことを言うなんて。
…礼は言わないよ?」

「別に礼なんて欲しくないよ。」
少し雲雀とアラウディの間に険悪な空気が流れる。

だが、場の空気で険悪な感じは無くなってしまった。

「よし、じゃあ本格的にバースデーパーティー始めるかっ」

ディーノが皆を仕切って言う。

雲雀は少し考え事をしていた。

(僕は群れが嫌いだ…。
だけど、今は嬉しさが込み上げてくる…)

「……………ありがとう。」

雲雀は蚊のなくような声で、礼を述べた。

本当に、彼なりに気持ちを込めて…

作品名:雲誕 作家名:獄寺百花@ついったん