グッバイ、俺のアッサシーノ!
目を閉じて、そうして開いてみる。
嗚呼、世界はこんなに濁りながらも!
(美しい物だったろうか)
世界は汚れと混在するから美しいのだと、
(世界一嘘吐きで愛しい彼が俺にそう教えてくれたのです)
「綱吉君」
「骸、お前の望む物はきっとここにありはしないよ」
「いいえ、」
ありますよ。
青と赤の澄んだ両の目が揺らいでいる。
そうして長い睫は泣いてる様に震えていた。嗚呼、とても綺麗だ。
つなよしくん。声に成らない呟きを俺は確かに耳で聞き取ったような気がした。
それは、きっととても小さな声で告げられた、彼の懺悔なんだろう。
(全くおまえも、大概お人よしな男だよ。むくろ)
「いいや」
「きっと無いよ」
今の俺はボンゴレ十代目。
けれどお前が求めるのは沢田綱吉なんだもの!
(そう言ったときのお前の顔が、俺は今でも忘れられないんだ)
消えてゆく、瞳の煌きに俺の懺悔を託して。
(未練も、託して)
そうして、お前の元を去ろうと思うんだ。
さようなら、きっと来世は。もっと素晴らしい人生になる様に!
(在りもしない偶像の産物に祈りを捧げておくとしよう)
グッバイ、俺のアッサシーノ!
(きっとお前は俺だけの、もの)
作品名:グッバイ、俺のアッサシーノ! 作家名:白柳 庵