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境目@変態EX
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【腐】煙草【普日パロ】

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高気圧が空を青く押し上げている。
裏のグラウンドからは、恐らく下の学年のどこかのクラスがサッカーをしている声が聞こえてくる。
私はと言えば、クラス中、いや学年中が必死になって黒板の白い文字と教科書を追い続けているなか、
たった一人で誰が決めたか社会のルールとやらにささやかな反逆を行っていた。
・・・ほんの数分前までは。


「ターボライターは使いにくいですね・・・」
「ほんとだよな」
「!!」
ドアに手をかけたまま、その人はこちらを見ていた。
・・・見た事のない人だ。目だけが真っ赤で、それ以外は真っ白で、
「オイコラ不良学生、煙草は駄目だって道徳の授業で習わなかったか?」
「・・・!」
やばい、そう我にかえっても今更。
動かぬ証拠は指先に挟まれた吸いかけの一本と、学生服で充分だ。
「学年とクラス、名前」
「3年・・・C組、本田・・です・・・」
「ふうん3年」
呟いて、その人は私を見た。
ああきっと、この大事な時期に、とか思われているのだろう。
(何が大事なものか)
私は心の中で罵倒する。そうだ大事なんかではない。私は高校をしかるべき手順で卒業した後適当な大学を出て社会へ放流されるだけだ。
その「社会」がたとえファーストフード店の店員だろうと電子機器の製造ラインのパートであろうとIT企業のサラリーマンであろうと、関係ない。
「ま、とりあえず没収!」
ん。掌を目の前に出されて、私はライターと煙草をそこに置く。
ライターは今朝、買ったばかりだった。
「・・・すみません」
「別に悪いとは思ってもいねーんだろ。ちょっとは申し訳ねえ顔しろよな」
ばれていた。
けれど、悪いと思えないのだから仕方ない。
元々こういう顔なので、とごまかすように呟いた。
「嘘つけ。・・・まあこの年から7mgなんて吸ってたら30代くらいで死ぬぜ?・・たぶんな」
「それでもいいです」
「ふーん」
ふーんとは一体どういう事なんだろう。
私は段々といらつきを覚え始めていた。大体この人は、教師然とした振る舞いをしているけれどこの顔は初めてみた。
前にも見たことがあるなら、先ほど眼を奪われるような記憶をすぐに忘れることなどないはずなのだ。
(・・?奪われる、・・?)
私が自分自身と問答をしている隙に、目の前の赤目の男は勝手に私の煙草を一本取り出して、火をつけた。
「・・・うめえな」
「・・・・・」
まるで、当てつけのようだ。
ウサギのような目を細めて、本当においしそうに。思わず、拳を握る。
「おい」
「は、・・・んっ!?」
視界が一気に暗くなって、赤い光が瞬いた。
口の中にぬるりとした何か。
「っ・・・う、ん、!んぅぅ!!」
時間にすればものの数秒、意味がわからなくて、解放された時にはただ息が乱れていた。
「吸いたくなったらいくらでも分けてやるからよ。これはもらっとくぜ」
「っ!!」
「じゃー明日のホームルームでな」

バタン!
力任せに屋上のドアを閉めて、一気に階段を駆け降りる。
訳がわからなかった。
ただぬるりとした感触と、慣れた自分の煙草の味と、名前もしらないあの人の気配だけが、口内を支配している。
(嘘だこんなの、)
いつもの煙草の味だけよりも、おいしいと感じるなんて。

「嘘だ、」