男は頑張らないといけない時もある
こんなこと夢みたいだ。
白いシーツに包まれたベッドの上で僕の大事な恋人である骸と抱き合っている。キスをして見つめあって、そんなくすぐったい状況。
僕と骸は付き合って三ヶ月だ。僕も健全な日本男児。恋人の骸の痴態を想像しては自慰してみたり。何度自分の右手にお世話になったことか! しかし今、想像してやまない状況に僕はいるのだ。
それは骸からの嬉しい誘いだった。「そろそろ先に進みませんか?」なんて、可愛い顔で言われたらたまらない。あの誘いを断れる男なんているのかな。いても咬み殺すけど。
骸をベッドに押し倒して、キスして。さぁいざ進めってところで僕の手は止まった。
正直、何をしたらいいか判らない。キスはした。胸でも弄ればいいのかな、でも骸は男だし気持ちいいのかな? じゃぁ骸自身に触れてみるとか。そもそも尻に僕のが入るの?
そうだ、僕は童貞だ。AVなんて見たこともないし、学校で没収した所謂エロ本をチラッと読んでみたりもしたけれど、なんか気持ち悪くて、見ていたのはたったの3秒(勿論その本は捨てたよ)。僕は骸の裸にしか興味がないんだ。大体、女と男の造りは違うわけで。自分自身をどういった感じで抜けばイけるかは判るけど、それって個人差があるものだから、僕は気持ちよくても骸が気持ちいいとは限らない。どうせセックスするなら、僕だけでなく骸にも気持ちよくなってもらいたい。こんなことならちゃんと勉強しておけばよかった! 後悔ばかりだ。
ふと下に視線を落とせば、手を休めた僕を下から期待で一杯の瞳で見つめる骸。あぁ、そんなに見つめないでなんか心が苦しいよ。やり方が判らないとか言って骸に呆れられたくもない、そんな複雑な男心。ねぇ、君に判るかい骸?
一人でする時に沢山考えた。骸の乳首って何色かな、骸のってどれ位の大きさかな、骸ってどんな顔でどんな声で喘ぐんだろう。そんな僕の興味が全部知れる時だっていうのに、あぁ全く情けないよね。
「雲雀君……?」
待ちきれません、とでも言いたげな骸。そういえば、だいぶ時間が経ってしまっていた。こうなったらやるしかない、僕も男だ! いけ、僕、負けるな、僕!
勢いに任せて、骸の服をたくし上げ、乳首をぎゅうっと抓ってみたら、思いっきりビンタされた。
へたくそ、なんて言わないで!
fin.
作品名:男は頑張らないといけない時もある 作家名:三角定規