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甘く見てね

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 選抜の激しい帝国学園において、一年生でレギュラーの座を射止める者にはそれなりに注目が集まる。今年の成神、洞面しかり、去年の鬼道、源田、佐久間しかり。その分妬みも激しく受けるのだが、それに屈するようでは帝国学園のサッカー部員としてはやっていけない。相手を挑発するように無視を決め込んでいる成神は怒鳴り散らす年上に全く関心がない様子だった。
別棟の屋上は自分のテリトリーなのに、そう思考する佐久間は見守るでも干渉するでもなく、ただ煩わしそうに死角になっているドアの前の攻防を妄聴していた。
 昼休み後、午後の授業がない今日は長く部活ができる。激しく体力を消耗するそれに備えて仮眠をとっているときだった。ドアの開く独特な音に浅い眠りをより浅くされた佐久間はうつらうつらとしていた。心地好いそんな状態を崩したのは後からやって来た複数人の二年生である。その怒鳴り声に苛立ちを覚えた佐久間が、自分もかつてやられていたその洗礼を煩わしく思っていた。

「その態度を改めろ、成神」
「同じレギュラーだからって、上級生である二年の方々に対して軽軽しすぎる」
「……自分がレギュラーになれないからって、こういうことするの、惨めだと思わないの?」
「貴様……」
「俺、興味ないんだ。興味あること、以外。だから、入ってこないで。煩い。干渉、しないで」
「許されると思っているのか、それで「お前には興味ない。それだけだけど」

 今にも殴りかからんとする勢いの二年。あそこまでおちょくられて我慢する辺り、規律正しい帝国の生徒であると佐久間は思考した。そんな折、昼休み終了の音が鳴り、その場の雰囲気が変化する。

「兎も角、このままで済むと思うなよ」

 そんな捨て台詞を吐きながら去っていく二年、その背中が扉の向こうに消えた頃、佐久間はゆっくりと立ち上がった。何の躊躇もなく扉に向かうが、気付いた成神が驚きの表情を浮かべていることに少なからず佐久間も驚いた。

「佐久間先輩!!何してるんですか!!見てた?見てました?見てたんですか!?」

 あわてふためいている成神が佐久間にタックルの勢いで抱き付く。縋るように見上げてくる子犬のような目に後ろめたさも感じつつ、それでも佐久間は相手を押し返そうとする。

「興味ないことには興味ないんじゃなかったのかよ、お前」
「やっぱり聞いてたんですね!先輩のばか!」
「………」
「ご、ごめんなさい」
「………」
「だって、先輩、いるなんて、知らなかったし、ううっ……俺、」

 成神が何をこんなに慌てているのか佐久間には理解が出来なかった。どんどん引き着いてくる成神を如何に振り解いて部活へ行くかを、全力で思考している。

「そんなに焦ることじゃないだろ」
「焦りますよ!!」

 もごもごしていた成神の、突然のはっきりとした大声に、佐久間は目を見開いて相手を眺めた。

「だって佐久間先輩には、俺のこと愛してもらわなきゃ困るんだもん!」
「その心は」
「大好きです!先輩!」

 興味を失われて先程の二年の扱いを受けるか、興味の中として異様なアプローチを受けるか、二者択一でも佐久間はどちらも勘弁して欲しいと、一向に離れない後輩に部活の時間を削られながら思っていた。



作品名:甘く見てね 作家名:7727