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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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【完全読み切り】驕

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「お前がオ―レ地方を救った少年か…」
 彼の前にいるのは、変わった風態の男だった。
 「あなたは一体…誰ですか?」
 「…まあ、知らないのも無理はない。お前は確か今、10歳だったかな」
 「…はい」
 「俺が活動したのは5年前だからな」
 「五年前…?」
 たしか5年前なら彼は噂を耳にした気がする。そういう話は…確か…。
 「…あなたは…もしかしてスナッチャー・レオさんですか?」
 「ああ。知っていたか」
 彼は少しうれしそうだ。
 「お前がルギアをリライブし、自然界に返したということは知っている」
 「まあ…そういうことはしましたけど」
 「そこで一つお願いがある」
 「なんですか?」
 「…実はだ」

 #

 「ロケット団・ギンガ団といった団体はポケモンたちを戦闘マシンに仕上げるためにシャドーの技術を悪用している」という噂をレオがきいたのはリュウトというまだ幼さが残るトレーナーがルギアを解放したというニュースがまだホットなころだった。彼は友人が遠く離れた異国にいた。
 「その話は本当か、レッド」
 「ああ、信頼できる筋に調査もしてもらったうえでの判断だ。間違いない」
 「そうか…」
 かつて彼は自分の腕前を誇っていた。彼は絶対的な自信があった。しかし、カントーにたどり着くと、そこで彼は絶望を見ることになる。
 「…」
 最近シャドー総帥として君臨したメチャリッチことデスゴルドはダークポケモンを6匹備えてバトルしていた。それは彼の権利であったし、総帥にはふさわしかったろう。たとえ彼一人が強いとて、他が弱ければ努力いかんで何とかなる。
 しかし、ロケット団という組織はそうではなかった。
 とりあえず目の前にあるポケモンはすべてダークポケモン化し、その簡略化した、しかし精度が高い技術を使い、下っ端に至るまでポケモンはすべてすべてダークポケモンという始末であった。そして彼は、来た敵を払うだけでも苦労した。そして分かった。
 (自分は、その立場、評判に驕っていたんだ)

 #

 「レオさん…そんなに大変なんですか」
 カントーに向かう船にアイオポートから乗り込んだリュウトは、どうしても聞かなかった妹マナを自室に置いて、レオが連れてきた連れである(というよりもはやガールフレンドのようである)ミレイに任せておいて、レオと二人、デッキにいた。
 「ああ。生ぬるい覚悟じゃあまず無理だな」
 「やっぱりマナは置いてきた方が良かったんですかね」
 「仕方ないだろう、ついて来てしまったのは」
 「そんなんでいいんですかね」
 「まあ、非常時はかばってやらないと危ないだろう。だが、だからといってあんなに小さいのにものの道理を別れというのはあまりに酷じゃないか」
 「レオさんはあいつのとんでもなさを知らないからそんなことがいえるんですよ」
 「はは」
 笑うことじゃありません、という顔をするリュウトに、伝説のスナッチャーは笑うしかないだろう、という顔をして見せた。
 「大丈夫だよ」
 彼は言った。
 「お前なら、絶対にできるはずだ。俺にできなかったこともな」