僕らの三角形
純然たる暇潰しに、おのれを取り巻く多彩な人間の、その内二人との関係をリボーンは考えてみた。
結果ほどなくして三角形という言葉をリボーンは脳裏からつまみ出すにいたる。三角形という名詞には多分に数学的知識が付随していたので、つけすぎた塩を落とすように先ずはそれらを削ぎおとす。ボリーンの知識が必要な時ではなかった。必要としたのはもう少し文学的な思考法だった。
脳裏から引っ張り出した三角形の頂点3つにおのれと先ほどあげた二人をそれぞれ配置する。
おれ、雲雀恭弥、そしてあいつ。
きれいに配置し終えて、ひっそり満足する。三角関係。そうこの三者を表現するならばそれ以外も以上もリボーンには考えられなかった。
リボーンはひっそり笑う。
この世界でこの三者を知る存在はこぞって首を傾げるだろう。三角関係?それはあれだ雲と霧と大空のことじゃあないのかい、と。
確かに端から見ればその三者も三角関係の様相だが、内実はお気に入りのオモチャの取り合いだ。一つの直線に並んだ3の点、文字通り綱引きをしている状態。不毛過ぎて面白い。とびっきりの美い男二人の醜態は、リボーンの嫌悪感から遥かとおくにあった。10年経っても懲りないとは可愛い奴等だと思う。
そんなわけで。
三角関係という言葉に相応しいのは黄色の虹と雲と大空だ。この三者を表現する言葉は過去や未来のどこを見てもそれしかない。少なくとも今リボーンにはそれしか見えない。
ツララのように鋭角の、二等辺三角形の他は何も。
全くもって嘆かわしいことに!
三角形はこの世でもっとも変形しない、強いかたち。