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突然ですが、ちいさくなりました。

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 奇怪な掛け声と光と煙。誰が原因かなんて頭が痛くなるほど分かっているから言及しないが、とにかくどこぞの奇跡を起こす露出狂の放った光が俺様の可愛い可愛い可愛い弟に直撃したのが十分ほど前。
 そして、俺の腕の中に小さな弟が収まってから、十分ほど経過した。
「かぁ、っわいいいいいいいい!!!」
「にいさん、そろそろ……その、はなしてくれ」
「っくあああああ! 呂律回ってねえのな、もっかい『兄さん』って言ってごらん」
「に、にいさん……?」
「ううああぁぁ……俺様の弟、可愛すぎるぜー……っ!」
 幼くなった弟を膝の上に乗せ、向かい合わせに抱きしめてやると、ちいさな声で「くるしい、」と呟く声が聞こえた。まろやかなボーイソプラノが耳に心地よく、抱きしめた弟の体は細くぷにぷにと柔らかかった。これがあのごつごつむきむき筋肉ダルマに成長するのだから、世界は不思議に満ちている。
 首を屈めてその額にちゅっと唇を落としてやると、ヴェストは小さな手のひらで自分の額を押さえ、顔を赤くする。正直なところ、めちゃくちゃ可愛い。
「にいさんっ、イギリスをつかまえて戻させないと、しごとができないだろう! あのくそまゆげ、つかまえたら骨のいっぽんやにほんは……かくごしてもらわんとな……」
 くく、と喉の奥で笑う姿は、ああ、確かにドSなドイツそのものだった。

「で、どーするこれ?」
「まゆげをむしる」
 更に十分ほどしたところでようやく俺のテンションが落ち着き、ひたすらぐしゃぐしゃと撫でまわし続けた髪を小さな手のひらが自ら直しながら、かわいらしい声が恐ろしい言葉を放つ。やめてやれ、アレがなくなったら残る個性はツンデレだけになっちまう。
「むしる以外で考えてやれ」
「まゆげを焼く。なんといったか、日本での……やきはた?」
「それもやめてやれ」
「だが、やはりあのくそまゆげをつかまえて、このはためいわくな『きせき』とやらをとかせないと……」
「ま、しばらくこのまんまでもいいんじゃねえの?」
 かわいいし、と小さな体をひょいと抱き上げて腕に乗せる。昔のように腕一本で支えられるほどに幼く細くなったヴェストの頬にやわらかくキスを落とし続けると、ヴェストはたちまち不機嫌そうな色に顔中を染めていった。
 ん、と首をかしげてその苛立ったような顔を覗き込むと、ヴェストはまるくて可愛らしいぷくりとした唇を尖らせる。
「……にいさんは、ちいさいおれのほうが……すき、なのか?」
「へ?」
「おおきなおれはかわいくないだろう、このときのおれはちいさくてにいさんに守られていないとだめだった、……おれは、こんなじぶん、きらいだ。あなたを守れないおれは、いやなんだ」
 体が幼くなって涙腺まで緩んでいるのか、ヴェストは大きなあおい目に涙を溜め、俯いてぽつぽつとそう呟いた。
 ちいさなドイツ。幼いドイツ。まだ俺の庇護下で、外を何も見せずに育てられていたドイツ。俺を支配する力も、俺を守る力もなかった、幼くちいさな俺の弟。
 俺が傷だらけになってこいつを守っていた、当時のことを思い出したのだろう。ヴェストは俺の服の裾を握りしめながら、どこか悔しそうな顔をして唇を引き結んでいた。









飽きた\(^o^)/