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美しさの隙間に

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あの子をよろしくお願いしますね、と突然言われ銀時は無気力な感情の語らない眼を瞬かせた。
目の前でにっこり笑う妙は、いつもの脅迫に近い言動をする笑顔に限りなく近く見え、銀時はなんとなく後ろへ正座のまま畳を引きずって後退した。
ずず、と音を立てる畳に妙は、銀さん、と圧力を掛けるかのように声音を低くした。ずずず・・・ず、と畳が傷つく音は途切れて、銀時は眉を寄せて、恐る恐る妙を見上げるが、視線は合わせることが出来なかった。
もう一度、妙が言う。あの子をお願いしますね。
それにやっぱり銀時は瞼を何回か瞬かせた。なんで今、妙がそれを言う必要があるのか、まったく分からなかったのだ。
新八がそれを言うなら分かるけどよ、と呟く。もちろん相手はもうすぐ妙と式を挙げる相手に決まっている。籍を入れるのは妙だ。送り出すのは、新八だった。
それでも妙は譲らなかった。噛み締めるように新八の名前を口にして、やはり銀時にあの子をお願いします、と言った。三回目の響きは、少し重たかった。
もう二度と会えなくなるわけでもなんでもないはずなのに、と銀時は思うがこの姉弟の絆は恐ろしいほど深く強い。それが分かっているから、余計に分からなくなるときがあるのだ。
深い深い絆。立ち入る隙間などなかった世界に突然現れた人間はさぞかし鬱陶しいことだっただろう。それなのに、妙を決意させてしまったのは、良くも悪くも新八が原因なのだと、銀時は思った。
自分たちを仮にも“かぞく”と呼ぶなら。それはなんておこがましいのか。
家族の絆を少しでも解いたのは、紛れもなく自分たちだというのに。
だけど銀時は、余計なことは何も言わずに、幸せになれや、と子供にするみたいに妙の頭を優しくたたき、背中をぽん、と押した。
それに妙は、すこしだけ、笑って。

そして小さく泣いた。



美 し さ の 隙 間 に




お題配布元:不在証明さま
作品名:美しさの隙間に 作家名:水乃