waitting
まだ疎らに人が残るなかから抜け出す
今みんなに注意したばかりの規則を破り
猛スピードで向かう一つ下の学年の教室
そこで待つのは
いつもの背中
勉強でもしているのか海堂の背中は丸まっている
切れた息を整えてから乾はそーっと後ろから被さるようにして
耳元で囁く
「 」
驚きと恥ずかしさで振り向く海堂から文句を言われる前に口封じを
耳まで真っ赤になった海堂の右手をとりながら
「お待たせしました。お姫様?」
遅いって文句言おうとおもったのに
こうされては手も足も出せえ
どう頑張っても乾先輩が一枚上手だから
今日は少し噛ませてやろう
取られた手を口元に
上目遣いで見上げながら触れる
立ち上がり耳元に口を寄せて
「これだけで満足するとでも?」
堕ちるな共に堕ちよう
共犯者に目配せをして
二人の影は夕日のさす教室で重なる