Velvet
「陽介・・・手、離せ」
「え?・・・あ。」
気づいたら、彼の制服の裾を握っていた。
気づいたからといって手を離さない俺を、シノはじっと見つめ・・・それからため息を一つ。
「なんだ?何かあったか?」
「あー・・・いや」
特にない。
「つかれたか?」
「別に」
じゃなくて、
「先帰っとくか?」
「待っとく」
しいて言えば・・・
「中の・・・」
「中?」
「お・・・」
「お?」
女。
いるだろ?
中に。
確かマーガレットって名前の。
「陽介?」
「あー・・・うん」
それがどうしたって言われたら、答えようがない。
けど・・・
「あー・・・」
「?」
だけど・・・
時々、お前にくっついてくる女物の香水が・・・・どうしようもなくムカツクんだよ。
「早く帰ってこいよ。」
「?あぁ」
「待ってるから」
「・・・あぁ」
わかってねーんだろうな。
まぁ、俺だって “その意味” はよくわかってねぇんだけど・・・。