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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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【完全読み切り】心

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 「コトネ!」
 彼がやってくる。私は泣き顔で彼にしがみつく。
 「おまえらなにしてんだ!」
 彼の一声で私をからかっていたガキ大将以下取り巻きたちはみんなさっていく。
 彼は、おそらくガキ大将と同じくらい強かった。しかし彼は片親のために、周りからは疎んじられていた。私もまた片親だったが、私はとても弱く、彼がいないといじめられてしまうのだった。
 「大丈夫か?」
 当時まだ二人とも幼かったが、彼は私より数倍大人に見えた。私と本当に同い年なんだろうか、と思ってしまうような。
 私は・・・それ故に彼に依存するようになっていたのかもしれない。そして、それ故に、今でもしっかり踏ん張ることができないのかもしれない。この甘え癖のせいで。

 #

 彼がいなくなったとは、彼が私との旅を終えたときだった。というと分かりやすすぎるが、それはいつかというと、彼と私がロケット団に対峙して、それを追い払ったときだった。彼は、そのときすでに、どこかへ消え去っていた。
 ジョウト中を探し回っても見つからない。まさかだれも思いはしなかったろう。そのとき彼はすでにカントーにいっていたなんて。
 彼は私と一緒に冒険していながら、私の知らないところで他の人にも出会っていた。ロケット団をつぶそうと考える、そんな二人の少年に。
 彼らが、後にその存在を表面化しだしたのはその折から数年がたった頃。私は思春期に入って、少し落ち着きを持つようになった頃だった。
 彼はロケット団をあいも代わらずおい続けていた。そして、ついにはそれを追いつめるようになっていた。
 しかし相手も非合法組織だ。目的のためなら大小を問わず、殺戮や襲撃から、麻薬取引や売春斡旋や詐欺などまで、様々な悪事を働いてきた。さらにはシャドーという組織に潜入し、そこで得た技術を元に、心を閉ざして先頭マシンと化したポケモンたちを操るようになっていた。ふつう覚えない技、ふつう出せない力を、彼らの遺伝子情報に反して使わされ、使い古されて道具のように捨てられるポケモンたち。仮に救い出せても後遺症は大きく、苦しむ姿は切に涙が出てしまう。
 そんな相手に彼はその中魔のポケモンだけで挑んできた。チームをトレーナー同士でくっで、相手の結束に対して対抗してきた。しかし・・・私はどうしても疑問を想わざる事ができない。隠れて戦って、感謝もされず、死んでも探されない、そんな状況で戦うなんて、辛くないの?いつもそうだった。あなたは他人に頼るのが、苦手だった。私は自立することができないから、頼って頼って頼りっぱなしで、そうしてあなたに、頼ることの必要性を学ばせる機会を、私のために奪わせてしまった。
 まだ闘うのかな。まだ苦しむのかな。そして自分も苦しいのに、悲しいのに、泣かずにこらえて明日を迎えるのかな・・・。