退屈
知らない女子生徒に今日の放課後屋上に来てくれ、と切羽詰まった表情で言われたから、どうせ死にたいだの何だの言ってる自己陶酔者なんだろうな、と思いながら階段を上っていた。
ドアを開けて一面に広がる青の世界に見入って立ち止まる。
「お、折原、くん!!」
そして今に至る。
「ぁ…、ごめん聞いてなかった。ごめんもう一回言ってくれる?」
勿論これは嘘だ。
一字一句逃さずに俺の耳はそのつまらないコクハクを捉えていた。
「っ、付き合って下さい…」
女子生徒は酷く悲しそうに言った。
俯いて、真っ赤な顔を隠しながら。
「…………」
「折原くんは覚えてないだろうけど、先月…私が」
「ごめんね全然覚えてないや。……帰っていいかな?」
「…、ひどい…。」
とうとう女子生徒は泣きだしてしまった。
「そんなことも知らずに俺に付き合って下さいなんて言ったの?失礼にも程があるね。最低だ。イメージの中の俺を勝手に好きになって、本当の俺を見たとたんに酷いだの最低だの。一番最低なのは君じゃないか。そうだろう?…じゃあね。」
相手が何も言い返さないのを一瞥して冷たく言い放ち、階段を下りる。
つまらない一日だった。