HONEYsuckle
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七年間付き合った。始まりが唐突なら、終わりもまた突然だった。
「鬼道も幸せにな」
「お前も」
「…うん、なんて言える訳ないよな。こんなのってないよな」
「円堂」
「こんなこと思わなきゃいけないなら、最初から何も無ければ良かったのに。傷付けるだけなら、昔の俺達のままでいたかったのに。俺、はじめて後悔した」
「…俺を好きになったことをか?」
「サッカーに出逢わなきゃ良かったなって」
七年間付き合った。始まりが冬なら、終わりもまた冬の、底冷えするような夜中のことだった。
七年間付き合った。後悔だけが傷のように胸に残った。種は地面に転がったまま。人生の意味さえ懸けて全身全霊で恋をして、たくさん水をやり涸れるまで叫んでも、それでも、なにも実りはしなかった。
七年間付き合った。そして別れた。さよならに込めた思いは、お互い知りもしないまま。
作品名:HONEYsuckle 作家名:あつき