君僕恋
1:君
騒がしかった日々から2年も経過した。
今ではもうマフィアとかどーこーの言葉にも落ち着いてきた(初めのころは対応やらなんやらで戸惑いはあったけれど)。
15にもなって"冷静"なんて言葉が整ってなければどうこれからの社会を生きていけばいいのだろう?
俺らは3年生になった、最上級生で高校受験がまじかになって周りがピリピリしている
やっと自分が学生だという実感が湧いた(ほんとあの頃は生きている心地なんてしなかった…ヴァリアーから白蘭とか…)。
やっぱ学生の方がまだ落ち着くな…そう浸っていたら
「じゅーだいめー!」
「?あ、獄寺くん」
今日もど派手な格好で登校してきたのは獄寺くん。ホント彼の対応にも初めは困ったものだった
初めはメンチ切ってきてケンカまで売ってきたけど、ひょんなことで俺が彼に勝ち見事"十代目"と重苦しい称号を手に入れてしまい
そして面倒な事に彼に慕われるようになってしまった
「今日も十代目は凛々しいっす!」
「あ、ありがとう…」
前言撤回。やっぱ慣れない…
またしてもそんなところにもう一人の仲間が…
「お!ツナに獄寺、はよー」
「山本、おはよ」
「っち、野球馬鹿か…」
それは何年経っても(まぁそんな何年って云う程じゃないけれど…)爽やかな山本の登場により少しは助かったと心のどこかで思っていた。
「今日も朝練?」
「おう、そろそろ推薦とか出るからなぁ…少しでも完成させとかなきゃな」
「そっか!」
山本は俺のファミリー唯一の剣士。だけど本当は野球が大好きの野球部の部長、将来は野球選手。その夢を知っても尚マフィアに入れさせていることに後悔している
彼は別に気にしてない様だがこっちはバッチリ気にしてしまう
野球推薦高を志願しているのなら尚更だ
「そう云えば獄寺くんはどうするの?」
「俺すか?」
「うん。」
やっぱ頭がいいから都内で一番頭がいいところに行くのかな?もしかしたら外国の学校だったりして。
「ああ、俺は暫くの間イタリアに帰って修行しようかなと考えております」
「…!」
「そっか、さすが獄寺」
「たりめーだ!お前みたいに生半可な気持ちで十代目をお守りするわけじゃねーんだ!」
「いうのなー」
隣で笑う山本を見て心がツキンと痛んだ。だって…だって、
獄寺くん、帰っちゃうんでしょ?
確かに彼は強い、だけど本格的に修行を始めたほうが今より格段に力が増すかもしれない、彼にとって、もちろん俺にとっても嬉しいけれど
その反面なんだかちょっと寂しいや。違う高校だとしてもメールや時々会う事だって出来るかもしれないし…
けれどイタリアだなんて…国際電話・メールはお金が少々かかるし手紙だって結構かかる、会いに行くのにもどんだけ時間も費やすことやら…
「いかないで…」
なんて云えるはずもなかった…
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