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ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~

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「うん。・・・ずっと君をモノと見てきた事には僕は最低な事に違和感はなかった。ずっとそういう風でいいと思っていた。でも、それこそずっと君といるうちにそれがどんどん苦しくなってきた。でもどこかで紋章を恐れて・・・君を大切な人だと思いたくなかった。これはあくまでも宝物、だから魂がとられることはない、そう考えてきた。」
「・・・・・。」
「でも今回の事で、僕の紋章は君を奪うのではなく君を守るんだって分かったから・・・。だからもう僕は僕を誤魔化さない。だから・・・今までモノ扱いして、ごめんなさい。そして、君が好きです。大事な、大切な人なんだ。ヒナタ?君の事も考えず勝手ばかりな僕だったけど・・・これからも側にいて、いいですか?」

ヒナタはどこか呆然とした様子だった。
暫く黙っていた。

だが急に堰を切ったようにボワッと目から涙があふれ出だした。

「ヒ、ヒオウのばかやろ・・・。僕は・・・僕はあの戦争の結末がああいう事になると分かっていてもそのまま前に進んだんだ・・・。大切なヒオウと共にと・・・選んでいたからっ・・・。だのにっ・・・だのにそんな事聞くなっ。モノ扱いされているのが分かっていても側にいた僕だってのにっ。いつか捨てられるのではってずっと恐れて怖くて・・・でも一緒にいたってのにっ。っく・・・。た、確かに僕は恋愛とか、そんなの分かんないよっ?男同士で付き合うってのも想像できないよっ?分かんない事だらけだよっ?でもっ、でもヒオウが大切な人だってのには変わりないっ。だのに側にいていいかなんて聞くなっ。」

ヒナタはまるで子供のように泣き出した。
ヒオウはヒナタの隣に座りなおし、優しくヒナタの背中をたたいた。

「そうだね・・・、ずるいね、僕は。ずっとヒナタにそういう感情が分からないままでいるよう仕向けておきながら。ヒナタはずっと純粋に僕を大切に思ってくれていて側にいてくれているって知っていながら。・・・ちょっとね、僕も不安になっちゃって。こんな打ち明け話してもヒナタは僕といてくれるんだろうか、とか嫌わないでいてくれるんだろうかって、ね?」
「っく・・・。変わらない・・・。ヒオウは、僕の、大切な人だって・・・変わらない・・・。」
「ありがとう。これからはきちんと何でも話すから・・・。ねえ、ヒナタ。これからは僕を大切な人、というより恋人って思ってもらえるかな?僕は恋人として君と共にいたいんだけど、僕はそう行動していっていい?今までは勝手にモノとして扱ってきたけど、ちゃんと確認するよ?君はきっと分からない事だらけだろうけど恋人として扱っても、いい?」
「・・・うん・・・分かった。この僕の感情が恋とかかどうかなんて分からないけど・・・ヒオウの事、大切で好きだって事は間違いないから・・・。」

ヒナタは涙を手で拭ってきちんとヒオウの目を見て答えた。
ヒオウはニッコリとした。

「ありがとう。」
「でも恋人って・・・僕はどうしたらいい?何か変えたほうがいいんかな?」

んーと考え首を傾げてヒナタは言った。

「いや、ヒナタはそのままでいいよ?無理に何も変えようとしてくれなくて。」
「え?じゃあ今までと変わらずってこと?そんなでいいんか?」

怪訝な顔をしたヒナタにヒオウはニッコリとして顔を近づけた。
また気付けば口づけをうけていた。
ヒオウが顔を離すとヒナタはまた真っ赤になっていた。

「なっ、きゅ、急に何すんだよっ。」
「こういう事。ヒナタは無理に変わらなくていいよ?でも僕は君への態度を変えるから、それについてきてくれたらいいかな。」
「え・・・あ、あの・・・ちょっと僕、自信ないけど・・・」
「大丈夫だよ?きちんと僕がゆっくり教えていってあげるから。・・・ねえ、今、ドキドキ、してる?」

聞かれなくても多分ばれているだろう。
ヒナタの顔は真っ赤で心臓も口から出るのではと思うくらいドキドキしていた。

「してるよっ。だって、びっくりするじゃんか。」
「ふーん、びっくり、ね・・・?」

ま、いいけど、といいながらもう一度ヒオウは軽くキスをした。
そしてニコリとして立ち上がる。

「じゃあ、まあ今日のところはここまでにしておくよ?ヒナタに知恵熱出されても大変だし。んじゃレックナートに挨拶でもしておこうか。」
「今日のところって・・・。ねー、あの、お手柔らかに頼みます・・・。」

2人は部屋を出てレックナートのところに行った。

レックナートにはルックの事、ありがとう、と感謝された。

レックナート自身、ルックの悩みや考えは知ってはいたがどうする事もできなかった。
門の紋章の継承者として、運命を見守る者として、彼女はただ自分の愛弟子が行おうとしていた事すら黙って見守る事しかできないでいた。

・・・それもまた、呪いの1つなのかもしれないな、とヒオウは思った。
大切な人が悩み苦しみ破滅への道を歩もうとも、ただ見守るだけとは。

ヒナタもそう思ったのであろう。何も言わず、レックナートをぎゅっと抱きしめていた。

まあこの場合抱きしめるのはおかしくない。
だがヒオウはふと思った。
ヒナタは性について知らな過ぎる分、スキンシップに躊躇がない。誰であろうが、嬉しかったり悲しかったりしたら抱きしめる。
相手にしても抱きしめてくれるのが見た目可愛らしい小柄で幼い少年だから嫌悪感が湧かない。むしろ微笑ましかったり喜ばしかったりありがたかったり、ではないかと思う。

だがヒナタは本当は大人である。
30歳(実際は1、2歳下かもしれないが)の立派な男が抱きついてきたら、普通だと相手が男でも女でも一瞬理由はどうあれ固まるのではないだろうか。

要は普通に考えてヒナタが誰かを抱きしめるという行為は問題がある、という事だよね?ヒオウは論理的にそう考えた。

と言っても正直なところヒナタと誰かが抱き合うのが許せないだけだが。

ヒナタの事をモノ扱いしていた頃は自分の所有物は誰にもあげない、自分だけのもの、というモノに対する所有欲だったが、改めて自分の気持ちを解放させてヒナタを恋人として見ると、今度は自分の愛している相手は自分だけに向いていて欲しいという独占欲でいっぱいになる。

結局他に対してどうでもいい分、すべてがヒナタに集中して欲深くなっているんだろうな、とヒオウは思った。

まあ、今回は良しとして・・・こういった事も教えていかないとね?

ヒナタがルックを手伝いに行こうと言って2人でまた歩き出した時にヒオウはそう考えていた。
そしてニコリとしてヒナタの頭を撫でた。

「・・・なんだよ、気持ち悪いなー?」
「いや?なんていうか、教え甲斐あるだろうなーってね。」
「・・・意味分かんないけど、何となく聞くのが躊躇われる感じだよな・・・。」