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ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~

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なぜかその子はこちらを凝視している。
北の出身だろうか、全体的に色素が薄い。
茶色の髪。
琥珀の瞳。
白い肌。
男か女か分からない華奢な体と顔立ちだが、多分男だろう。
トンファーを扱う女の子というのも面白いが。・・・あの金輪は、アクセサリーなのか・・・?そして大きな目をまだこちらにずっと向けたままのその子から、真の紋章の気配を感じた。
ただなんとなくぼんやりとだが。

その時ソウルイーターからまるで感情が流れてくるように伝わってきた。
その子が宿しているのは真の紋章、始まりの紋章の片割れ、輝く盾の紋章だと。

そして陰が光を恋焦がれるように、このヒオウの紋章は彼の持っているであろう紋章を焦がれ共にありたいという事を。

ヒオウはかなり驚いた。
もしかしたら少し顔にも出たのかもしれない。
自分のものとなったこの紋章の扱いには慣れてきていたが、こんなに何かを訴えてくるような事は初めてだった。
そして輝く盾の紋章ということは、この子は多分今の戦争のリーダーであろう。噂に聞いていた。
少しは興味あったがグレミオにせかされて、まあいいかと、確認しないままだった。

その上ルックもいるという事は多分今の天魁星。
面白い。
とても面白い。
そういえばそれが正しければあの狂皇ルカを倒しているんだったな。
ヒオウはわくわくした。
ああ、どうか推測はあっていますように。

「えーと、それから・・・」

ヒオウは盾の紋章の持ち主であろう子供を見た。
その子は相変わらずヒオウから目が離せないでいた。

「あ、ああ。こいつはヒナタ。今俺たちが戦っている戦いのリーダだ。」
「へえ。」

フリックがヒナタを紹介した。ヒオウは二コリと笑った。

ああ、推測はあっていた。
なんて楽しい出会い。
実際どうでもいいあての無い旅も退屈になり始めていたところだった。

フリックが続けた。
「ヒナタ、こっちはヒオウ・マクドール。」
「あ、あの、初めまして、ヒナタです。」
「初めまして。よろしく。」

立ち話もなんだからと宿屋に移動することになった。
ヒオウはルックにニコリと笑いかけて言った。

「あ、ルック。先にヒナタくんと戻ってて?僕はこの2人に言いたい事があるから。」
「「「・・・・・」」」

青くなるビクトールとフリックを尻目に、ルックは黙って、どうしたんだという顔をしているヒナタを引っ張って瞬間移動した。
歩いていかないところがさすが、察しがいいと笑顔のままヒオウは思った。

そしてゆっくり青くなってやばいという顔の2人の方に棍を持ったまま振り返る。

「・・・さて・・・改めて、やあ、ホント、久しぶりだね?生きていたとは、知らなかったよ?」