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ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~

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「・・・吸血鬼だと聞いております・・・」
「げ。」
「・・・?何か・・・?」
「え?あ、いや、ごめん、何でもないよー。」

一瞬のうちにネクロードやらシエラ様が過っていった。

・・・まだ野良吸血鬼なんているんだ?

「分かったー、じゃぁ連れに話しに行って・・・」
「いえ・・・今回はおひとりでお願いしたいんです・・・。」
「え。何で?」
「腕が立つ人にお願いする理由の一つでもありますし、あなたのような若くて、見た目が可愛らしい人のほうがいいという理由でもあります・・・。要はおとりになっていただきたいという訳です。」

見た目が可愛い?

少しそこにカチンときたが、それよりも・・・一人かぁ・・・ヒオウがなんて言うか・・・。

でもそういえば今ヒオウは怪我してたしなぁ。無茶はして欲しくない。あんなヒヤリとする思いはたくさんだ。
おとりくらい、自分一人でなんとかなるだろう。

「うん、分かったよ。だからこれ、こんなに報酬いいんだね。じゃあこれは引き受けさせてもらう。」
「・・・そうですか、助かります。では今から・・・?」
「いや、連れに黙って行くのもアレだし・・・緊急を要するものだろうけど・・・明日ではまずい?」
「・・・そうですね・・・早い方がありがたいですが・・・明日、では朝のうちに・・・」

話はまとまった。
その後フードの男は消えるようにいなくなった。
ヒナタはその男が行った方向をしばらく見ていた後、宿屋にもどった。

「なんだって?ヒナタ、何考えてるの!?」

案の定ヒオウは文句を言ってきた上で、それなら自分が行くと言ってきかない。

冗談じゃない。今回だけは絶対嫌だ。
そりゃ大した怪我ではなかったけれども・・・。

とりあえず内容を聞かれたときは、簡単に人助けだとだけ言っておいた。
これでおとりだと言った日には、自分はこの場に監禁される勢いだろう。
だがヒオウがこのまま黙っておとなしく自分を行かせてくれると思うほど付き合いは短くない。

こうなったら強行突破だな。

幸い今まではそうゆう事をしてこなかったという事と、いつも嘘寝をしたらすぐばれていたという事もあって、本気で寝たヒナタをヒオウは疑う事をしなかった。

そして朝。
ヒオウが出かけている隙に準備を急いでしてから、出てきたという訳であった。