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ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~

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忖度



「ねえ、ルック?お前、美少年攻撃の一員なんだってね?何それ?再会した時は3年前に比べて少し大人しそうになったかと思ってたけど。まあ確かに相変わらず性格悪そうだけどさ。そんなに主張したかったんだ?言ってくれたら前のときも作ったのにー。」

ある日いつものようにルックが石板の前に立っていたら英雄がやほーっと手を振って近づいて来てニコリと笑いながら言った。

「・・・うるさい。って誰が好き好んでそんなバカな攻撃っ。いつの間にかさせられてたんだよっ。腹立つから最後に攻撃するとき後の2人にも食らわしてるけどね。」
「うわー、やっぱ性格悪いね。あとの2人って、あの口の悪かったフッチと、カスミんとこのサスケって奴だったけ?フッチってそういえば凄く礼儀正しくなってるみたいだね?ハンフリーの教育?お前も一緒に連れて行ってもらってその性格叩きなおしてもらったらよかったのに。」

ヒオウが棍を自分の肩でトントンとリズムをとりながら相変わらず微笑んだまま言った。

「・・・切り裂くよ?だいたい何しにきたのさ。呼ばれてもないのに、この暇人英雄。」
「うーん、退屈しのぎ?いいじゃない別に。ルックだってこんなとこに突っ立ってるだけでしょ?」
「これでも僕は使命を果たしてるんだよっバカっ。」
「よっ、ヒオウ。」

ヒオウがルックをからかって遊んでいるときにシーナが通りかかって2人に気付き、声をかけてきた。

解放戦争時代、歳が近いこともありよくこの3人で(ルックは大抵無理やりだったが)つるんで遊んでいた。
カリスマ的存在だったヒオウも、この3人で抜け出して遊んでいたときは割りと普通の少年のように傍からは見えた。

「やあシーナ。お前も相変わらずだって?」
「相変わらず何だよ。俺はこの溢れんばかりの魅力を皆に振りまいているだけだぜ。」
「の割りに成果は微妙だよね。」

ルックがボソッと言い、ヒオウがやっぱり?と相槌をうつ。

「チェッ、何だよ。お、何だったら今から一緒にナンパ行かね?割りに可愛い子が多いぜ?この本拠地は前と違ってあんまり軍基地っぽくないからな。一般人も多い。」
「みたいだね。何だが楽しそうな場所だよね。でもナンパは遠慮しとくよ。」
「えー何でだよ。ヒオウ、お前なら絶対いけるって。そりゃ見た目年下だけどさ。」
「んー、別に今誰かに声掛けてひっかけても僕の得にならないからいらない。」

相変わらず棍で肩をトントンとしながらヒオウはサラッと言った。

「うわー聞いたかルック。イヤミな奴だよなー。もてる奴の余裕の台詞ってやつ?っていうか損得ってなんだよ、色気ねえ。」
「僕も興味ないから、僕にふるな。」

ルックもプイッと横を向いて言った。

「何だよー。のり悪いなあ。お、ヒナタ。」

そこに盟主が通りかかった。ヒオウがのん気に手を振る。

「あ、ヒナター、やほー。」
「あれ、ヒオウ何でいんの?まあいいや、皆で何してんの?何か遊びの計画?」
「ヒナタ聞いてくれよ。こいつら皆可愛い女の子に興味ないって事言うんだぜえ?」
「ていうかシーナが興味ありすぎるんだよ。」

シーナがヒナタに話してる横でルックが突っ込む。だよねー?とヒオウも頷いた。

「あー、まあシーナはねえ。でも興味ないってのも問題だよな。2人とも大丈夫?」

ヒナタが首を傾げて疑わしいものを見るようにヒオウとルックを見た。

「何その異常者扱い。僕はいたって普通だから。ルックはホントに興味ないようだけどね。まあ、ルックだしね。」
「あールックだしねえ。」
「まあ、ルックだからな。」
「ちょ、何その僕だからっていう納得の仕方!?興味ないのは確かだけどなんかムカつく。」
「あははー。あ、ヒオウ、暇なんだったら丁度いいや、手合わせしない?」
「いいよ。じゃ行こうか?」
「おおっ。今度こそ勝つからなっ。」
「そう?まあ今のところ僕は負ける気しないけどね?」
「んだと!?その余裕の鼻っ柱くだいてやるからな。覚悟しろよ?」
「へえ?怖いね?」

やる気満々なヒナタと、それをヒオウはハイハイと受け流しながら道場の方へ歩いて行った。
それを見送ったシーナがルックに言った。

「あの2人の手合わせって、何か凄そうだよな。まあヒオウのが上手だろうけどヒナタもたいがいの奴が敵わないくらいの腕前だからな。」
「まあ別に僕は興味ないけどね。」
「つかルックが興味しんしんなところってまず想像つかねえな。ちょっと見てみたいよな。」
「煩いな。とっととナンパでもしてくれば?」

切り裂きでも食らわせそうないきおいでルックは言った。

「おお怖。つーかヒオウも女よりも修行かー?女は得にならないってのにヒナタとの手合わせなら得になる訳ー?」
「シーナじゃあるまいし、別に普通だろ?女よりも修行とるってのは。ほらもうとっとと行きなよ。鬱陶しいから。」

ルックはしっしと払うように言った。
チェッと言いつつじゃあなーとシーナも去っていった。

まったく。
ここを集合場所みたいにするのは止めて欲しいよねとルックは暫くブツブツ言っていた。

でも。

シーナじゃないけど、確かにヒオウはヒナタをかなり気に入っている様子である。
まあ大抵の奴らがあの俺様盟主に甘くはあるが、ヒオウはそれ以上に過保護なところがあるように思える。

「・・・紋章の相性・・・?」

それならそれで興味深いが。
それでもあのヒオウが何かに興味を持つとは。


ルックは知っていた。3年前に一緒に戦っていた時から気付いていた。

あのだれからも崇拝されるカリスマ性の持ち主が茶目っ気があり、色々楽しむのが大好きだと周りは知っている。

だが実際のヒオウは何事をも楽しんでいるようで、実は何に対してもどうでもいいと感じているという事を。
何をしても何を見ても平等にどっちでもいい、要はどうであろうが好きでも嫌いでもないと感じているのだという事を。

そんなヒオウが興味を抱いている。

あの紋章にか、ヒナタ自身にか、それとも両方にか。

ルックはぼんやりと石板を見ていた。
そしてなぜか少し寒気がした。