【5/26】HAPPY BIARTHDAY!!【ミツバ誕】
初夏の風が撫ぜる新緑の葉の影が、ゆらゆらと揺れる。
合間から覗く、青空は遥か遠く、一筋の飛行機雲を描く。
ふう、とそれを追うように紫煙が空へ上がってゆくのを目で追った。
ぎし、ぎし、と廊下の板を軋ませる。
その音に反応したのか、否か、ゆるりと柘榴色の眸が此方に向いた。
瞬きを、一度。
またゆるりと、視線を外す。
その仕草を追うてみれば、そこには何も無く、無いというよりは、何も見ていないというのが正解か。
「何やってんだ」
「別にィ」
ふぁ、と大きく欠伸をしてから、ごろりと縁側に頭を出して仰向けに寝転がる。
「今日は」
あねうえの、
「誕生日なんですよ」
「――・・・嗚呼、そういや、そうだな。」
「姉上はもう居ないのに、誕生日は来るんですねェ」
ちょっと吃驚しやした
「そりゃあ、その日だけどっか消えるわけねェだろ」
「そうですよねェ。そうなんですけどねェ」
吃驚、したんですよ
いつもより、表情は機嫌良くけらけらと笑ってみせる姿が、太陽に透ける。
土方さァん、俺ァね、
「姉上におめでとうって言いたいんですよ」
「姉上にプレゼント渡したいんですよ」
「姉上の声が聞きたいんですよ」
「姉上に、」
あいたいん、ですよ
「なら、会いにいきゃあ良い」
「死ねってことですかィ」
「そうなるな」
「そうなりますかィ」
死ぬ、か
すう、と肺を膨らませる。ゆっくりと吐き出す。
「そりゃァ、嫌だ。あんたが死ぬのを見届けてからじゃなきゃ俺ァ、」
死ねない、ですねェ
「じゃあ諦めろ」
「土方死ね」
「お前が死ね」
へへっ、
「いー天気ですねェ。絶好のサボり日和だ」
「仕事しろよ」
死なないでって云うのは呆れるくらいに簡単 だから云わないよ
作品名:【5/26】HAPPY BIARTHDAY!!【ミツバ誕】 作家名:ゆち@更新稀