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みんななかよしエイプリルフール

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エイプリルフール。それは1年に1度嘘をついてもよいとされる日である。

「ってことなんだけどさあ……」
 来神高校の屋上でのんびりとエイプリルフールについて語る少年。それを話半分に聞く眼鏡の少年。まだ春休みだというのに補習のせいでこうして学校に来るハメになっている。
「嘘ねえ……。臨也はいっつも吐いてるでしょ」
 臨也と呼ばれた学ラン姿の少年はにやりと笑ってすぐ後ろにいる少年の肩を叩いた。
「ねえシズちゃん」
 その瞬間新羅はさっさと彼の話を切り上げて教室に戻れば良かった、と後悔を覚えた。
「ああん?」
 臨也に呼びかけられて振り返ったのは髪を金に染めた長身の少年。不機嫌そうな彼に臨也は笑顔で言った。
「シズちゃん、愛してる」
 新羅はそれに驚いて思わず持っていたペットボトルを落とした。
「何言ってんだテメェ」
「やだなあ。シズちゃん」
 すっと彼の笑顔が引く。
「エイプリルフールじゃないか」
 静雄はこめかみをひくつかせながら笑顔を作った。
「俺もお前のこと大好きだぜ。臨也」
「やだなあシズちゃん。声が怖いよ」
 2人の間にわって入ろうか迷っている新羅に4つ目の声がかけられた。
「どうしたんだ?」
「えっと門田君……」
 見ればわかるというように新羅はただ2人を指差した。
「エイプリルフールだからって」
「馬鹿かあいつら……」
 新羅と門田が呆れるように見ている2人はまだ悪意を込めながら互いに「愛してる」だの「好きだ」だの言っていた。
「シズちゃんって本当に素敵な人だね」
「俺も臨也と出会えてよかったよ」
 こうなったら止めるに止められないのか互いに笑みを引き攣らせながらそんな応酬を繰り返している。
「気持ち悪くて蕁麻疹出そう」
 臨也はぼそりと呟く。それが耳に入ったのか静雄も怒りのボルテージを上げる。
「こっちも耳が腐りそうだ」
 どうしようかと思案する新羅に向かって門田はあっさりと諦めの言葉を口にする。
「どうしようもないだろ。さすがにチャイムが鳴れば……」
 その時ちょうど良くチャイムが鳴った。
「静雄。次教室遠いしそろそろ戻ろうか」 
 新羅がすかさず声をかけて静雄の腕を引く。臨也は静雄の背中に向けて何か言おうとしたが、
「やめておけって。俺たちも教室戻るぞ」
「わかったよ」
 臨也は少し不満そうに、けれど大人しく従った。






「君たちは本当に仲がいいねえ」

 新羅が溜息まじりに溢す。静雄が彼を睨むと慌てて付け足した。

「もちろんエイプリルフールってことだけどね」